解雇者基金の設立、使用者が再び反対

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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人的資源省が提示した解雇者基金設立の修正案に対し、使用者団体がコスト増を理由に再び反対を表明している。

同基金案は、退職金を支払われずに解雇された労働者の救済を目的とするもので、もともと1997年のアジア経済危機の影響で15万人以上が解雇されたのを機に、マレーシア労働組合会議(MTUC)が1998年2月に提案した。使用者は雇用法の下での保護で十分との立場から反対を表明。当時経済危機の対応にあたっていた国家経済行動評議会も同年末に、基金が設立されれば安易に解雇に踏み切る使用者が増えるとの理由で、最終的に同案を却下する決定を下した。

その後もMTUCは基金の必要性を訴えつづけていたが、景気回復が鮮明になってきた2000年のメーデーでマハティール首相は、使用者が同意すれば政府は基金設立に前向きであると方針転換を表明し、人的資源省が政労使の三者会議を立ち上げ検討していた。

MTUCの当初案は、掛金について、毎月、労働者側が1リンギ、使用者側が労働者1人につき1リンギとし、基金の管理は社会保障機構(Socso)があたるとしていた。また、西側諸国の失業手当制度の弊害を避けるため、給付対象者を解雇後失業状態が3カ月以上続いている者に限定している。

これに対し人的資源省は2001年3月に開催された三者会議で、掛金を労使双方とも労働者の月給の0.15%とする修正案を提示。使用者団体は2カ月にわたって検討していた。

今回修正案に反対した使用者団体は、マレーシア経営者連盟(MEF)、マレーシア製造業者連盟(FMM)、マレーシア国際商工会議所(MICCI)。反対理由としてコスト増加の他に、多くの使用者は解雇する際に手当を支給しており、一部の悪徳使用者の負担を背負わされるのは筋違いであると述べている。

使用者団体から対案は出ていない模様で、人的資源省は使用者団体の見解を検討したうえで、8月の三者会議で再度協議するとしている。

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