計画倒れに終わった民主労総の第2段階連帯闘争

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年9月

民主労総は6月12日からの連帯闘争に関連して政府が同執行部に逮捕状を発行したことに対して「労働弾圧」であると強く反発し、「対政府闘争」を旗印に7月5日から第2段階連帯闘争に突入することにしていたが、傘下各労組の足並みが揃わず、結局、不発に終わった。

民主労総は当初、第2段階連帯闘争の中心勢力として自動車、造船、機械など金属産業の大手事業所労組に大きな期待を寄せていた。しかし、結局蓋を開けてみると、光州全南地域の最大事業所であるクンホタイヤで労使交渉が妥結し、労使紛争が終結したのに続いて、連帯闘争の中心勢力の一つとして注目されていた現代自動車労組(組合員3万8000人余り)も金属産業労連ウルサン地域本部主催の抗議集会に代議員(800人余り)だけ参加することを決めるなど、起亜自動車労組が5時間の時限付ストに突入したのを除いては、代議員だけ社外の抗議集会に参加したり、組合員総会を開催するのにとどまるなど、第2段階連帯闘争はあっ気なく終わってしまったようである。

民主労総は、「金属産業労連傘下の44カ所の事業所別労組をはじめ、化繊労連傘下の12カ所の事業所労組、建設・公共サービス・事務金融部門の21カ所の事業所労組などがストに入るなど、合わせて80カ所の事業所で7万人余りがストや抗議集会に参加した。ただ、現代自動車労組、ハンジン重工業労組、現代ミポ造船労組はスト計画を撤回し、現代重工業労組と大宇造船労組はストに入ったものの、組合員の参加率はかなり低かった」と発表した。

一方、労働部の集計によると、「7カ所の事業所で1631人が全面ストに、また14カ所の事業所で1万3545人が部分ストに入るなど、実際に民主労総の連帯闘争日程に合わせてストに突入したのは21カ所の事業所で1万5701人にとどまった」。

このように民主労総の連帯闘争への大手事業所労組の参加が低調に終わった背景について、労働部の関係者は「起亜自動車労組を除いた大半の大手事業所労組は争議行為調停手続きに入っているか、または中労委の行政指導(十分な交渉勧告)を受けており、その段階でストライキに入ることは不法行為に当たるため、執行部としては不法行為を覚悟でストライキを強行するのに大きな負担を感じたのが大きかったのではないか」と述べた。

その他に、今回の連帯闘争は「現政権との全面対決」という政治的色合いを強めていただけに、その争点が事業所別組合員の実利志向とはかけ離れてしまい、一般組合員の支持を集めるのに自ずと限界があったことや、また政府が「いかなる政治的妥協も排除し、引き続き不法争議行為に対する厳正な法執行の原則を貫く」方針を再三強調したことも、大手事業所労組の執行部には大きなプレッシャーになったのを否めないのではないか、との指摘もある。ちなみに、民主労総によると、政府の不法争議行為に対する厳正な法執行により、拘束された労働者数は4月の19人、5月の21人から6月には69人に急増し、上半期だけでもすでに162人に達している。

以上のような7月5日の「1日ゼネスト」に続いて、民主労総は7月13日、緊急代議員大会を開いて、「22日に地方組合員10万人が上京、対政府闘争を展開する」ことを決めるとともに、「現政権の全面的な労働弾圧に対抗し、下半期に続く構造調整と労働法改悪の動きを食い止めるために闘争態勢を強化すること」を決議した。

これに対して政府は、「現政権は民主労総を合法化し、政治活動を保障するなど、組合活動の発展に寄与した。民主労総が連帯闘争と過激な示威を通して政府の公正な法執行を妨害する場合、執行部全員を司法処理し、ストライキの終結後も拘束された組合員の釈放などをめぐる政治的妥協には一切応じない。と同時に、労働組合を認めず、十分な交渉も行わない使用者側の不当労働行為に対しても厳正な司法処理を行うなど、労使を問わず、不法行為に対しては厳正な法執行の原則を貫く」方針を明らかにした。

特に現政権退陣運動など強硬路線に突っ走る民主労総執行部に対しては、「労働時間の短縮、非正規労働者の保護、構造調整関連問題などの主な争点については公式の政策協議の場で話し合いを通して解決を図るよう」求めた。

しかしながら、民主労総は公式の政策協議の場である「労使政委員会」に根深い不信感(同委員長によると、労働者排除政策の道具、韓国の実情に合わない制度)を抱いているうえ、「前述の争点は労使間の話し合いや妥協ではなく、政府の方向付けや決断によって解決されるべき問題である」との認識をもつなど、両者間の対立構図は依然として平行線のままである。

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