新年金プラン、MTUCの要求通りEPFが運営を引き継ぐ見通し

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

民間保険会社に運営が委託されることになっている従業員積立基金(EPF)の新年金プランをめぐり、これに反対するマレーシア労働組合会議(MTUC)、官公労連(Cuepacs)とEPF顧問団が2001年5月24日に開いた会合の結果、懸案となっている同プランの運営について、EPF自身が行う可能性が出てきた。

問題となっている新年金プランは、EPFが2000年7月に導入した「従来型年金制度(SAKK)」と「投資型年金制度(SATK)」の二本立てで、EPF加入者はこれまでの積立金を利用して任意に加入できる(注1)。MTUCは当初、導入経緯が不透明であることや運営を民間保険会社に委託していることなどを理由に、同年金プランの受け入れを拒否(本誌2000年11、12月号参照)。その後、プランそれ自体は認めるに至ったが、運営が民間保険会社に委託されていることについては、引き続き撤回を要求、EPF自身が運営するよう求めていた。

今回、MTUC、CuepacsとEPF顧問団の会合が実現したのは、政府が打ち出したEPF使用者掛金の率引き下げ措置に反対してピケで対抗しようとしたMTUCに対し、マハティール首相がピケ回避のため譲歩案を提示、MTUCが受け入れたためだ(本誌2001年6、7月号参照)。譲歩案の一つに、顧問団の調査が終了するまで年金プランを延期するとの条項があった。

今回の会合では、EPF顧問団が行った調査の第一次答申が紹介された。会合に出席したMTUCのラジャセカラン書記長によると、答申は、EPFには年金プランを自ら運営する能力があり、またその方が効率的であると指摘しているという。

MTUCのランパック委員長は、答申の内容に満足しているとしたうえで、顧問団が最終答申をEPF理事会に提出する前に、第二回会合が開かれることを明らかにした。

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