労働市場の新改革

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

1997年の全面的な改革は、安定的雇用を奨励するために新しい終身雇用契約を導入した。この狙いは、職を見つけるのが最も難しいグループ(30歳以下の若年層、45歳代以上の労働者、長期失業者、身体障害者など)を対象とした。また、使用者が臨時雇用契約を終身雇用契約に転換するのを奨励した。

加えて、政府はスペインの労働市場の柔軟化を目的として、1998年、パートタイム雇用の部分的改革を承認した。これらの対策によって、終身雇用契約の退職金コストは大幅に削減された。しかし、臨時雇用と常勤雇用との間には大きな格差があり、パートタイム労働の定義にはある種の硬直性が依然として存在するので、使用者はあまり魅力を感じていない。

これらの問題を考慮に入れると新しい労働改革が必要となった。2001年の労働改革は従来の改革の主な指針を含んでいる。すなわち、より安定して質の高い雇用を促進すること、および従来の改革の一部を修正し、新しい側面を導入することである。

最近の改革に関わる主要点は以下のとおり。

  • 終身雇用契約

    本改革は1997年に導入された新しい終身雇用契約を奨励している。それにより、受益者の範囲が拡げられる。即ち、若年層(最低年齢を18歳から16歳に引き下げるとともに、最高年齢を29歳から30歳に引き上げる)、女子の就業率が低い分野での女子失業者、45歳以上の失業者(6カ月以上の失業)、身体障害者などである。

    しかし、同改革には30歳から45歳までの区分の失業者は含まれておらず、わが国の労働市場が機能する上である種の市場細分化が起きている。

  • 臨時雇用契約

    臨時雇用契約に関しては、就労1年当たり8日分の給与に相当する解雇手当という新しい数字が設けられた。この指標により、臨時と終身の両雇用形態をバランスよく利用できるようになった。しかし、我々の考えでは、臨時雇用契約を増やす代わりに終身雇用契約を削減することによってバランスを取るべきである。その理由は、ある種の活動にとっては臨時雇用契約が必要だからである。

  • 女子の雇用契約

    特に女子の就業率が低い分野で女子失業者を減らすこと、および女子の労働市場への参加を促進することは最近の労働市場改革の主要な問題点である。さらに、新しい法制の意図は、社会保障搬出金に適用される100%ボーナスを支給することによって出産後の女子の雇用に資することである。

  • パートタイム労働

    政府はこの契約の利用を奨励するため、パートタイム契約と見なすのに必要な最大時間数を撤廃し、同契約に柔軟性を持たせた(以前の改革では労働時間の77%以内と定められていた)。

  • 従業員の地位

    臨時労働者と常勤労働者との間で給付のバランスを取るため、本改革では従業員の地位に変更を加えた。

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