組合員数は増加したものの、労組組織率は漸減傾向
組合員数と組織率
オーストラリア統計局(ABS)が先日公表した調査結果によると、2000年8月時点の労働組合員数は190万1800人を記録し、前年同月比で2万3600人増となったことが明らかとなった。過去十年あまりにおいて、労働組合員数が増加したのは初めてのことである。
しかし一方で、労組組織率の漸減傾向は続き、2000年8月時点で24.7%にまで低下した。労組組織率は1986年には46%であったが、それ以降低下傾向にある。また、公共部門の組織率は47.4%であったのに対し、民間部門のそれは19.6%から19.1%に落ち込んだ。
労働党が政権に復帰したいくつかの州では組合員数が増えている。例えば、ニューサウスウェールズ州では1万人増、クィンズランド州では1万500人増、ビクトリア州では2万9500人増となっている。
ACTUの評価
オーストラリア労働組合評議会(ACTU)のコベット書記長は、組合員数の増加の背景として2つの要因を指摘している。まず第1に、組合員数の増加は、医療や観光といった雇用の伸びが著しい産業で記録されている。ACTUは1999年以来「Union@Work」という戦略の下で、職場レベルの組織化戦略を特に重視してきたが、数字の上でもその成果が表れてきたといえよう。
第2に、オーストラリア社会が次第に現政権の反組合的アプローチに幻滅し始めたのではないかということが指摘された。つまり、政府の政策が、所得格差の拡大や雇用の不安定、長時間労働、臨時労働者化を助長し、オーストラリアの社会構造や結束を損なっている。国民は、こうした状況に幻滅を感じているというのである。
その上で、同書記長は公正・公平な社会を築くために、国民が労組を必要としており、ACTUの戦略の正しさが実証されたと評価した。
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