フィリピン海外労働者権利監視組織が10の提言

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

フィリピン海外労働者権利監視組織(PMRW)は2001年3月、海外で就労しているフィリピン労働者とフィリピン人移民の権利を保護する10の提言を発表した。

PMRWは、1995年に5つの非政府組織(NGOs)と民間組織、4つの教会のグループが、フィリピン人海外労働者とフィリピン人移民の権利を保護するために結成した組織である。今回PMRWがまとめた10の提言の主な内容は次の通り。

  1. 政府は、海外労働者と国内経済の発展に関し明確な政策を策定すべきである。特に、国内の雇用対策と職業能力開発を中心に政策と事業計画を策定すべきであり、仮に政府が海外への労働力の輸出に頼らないのなら、持続的な代替政策を準備すべきである。
  2. フィリピン人海外労働者とフィリピン人移民に関して定めた共和国法第8042条に関する改正について慎重に対処すべきである。海外労働者の規制緩和は海外労働者の保護を改善することにならない。規制緩和は、フィリピン人海外労働者に対し十分な情報提供と海外への移民が選択できる場合にのみ実施されるべきである。
  3. 海外労働者の法改正では、特に賃金問題、非合法的求人活動、経済・社会的人種差別に注意を払うべきである。また、参政権の充実を計画すべきである。
  4. 船員の窮状を改善することを優先すべきである。一部の船員は、悪質な外国人船主により、低賃金、低い社会保障水準で酷使されている。こうした船員を救済すべきである。
  5. ジェンダーを改善すべきである。女性の海外労働者が急増しているにもかかわらず、政府はジェンダーに関する政策を実行していない。海外の多くの女性が、家庭や歓楽街で労働しており、ジェンダーに関係する問題がすでに多数生じている。また、人身売買さえ実行されている地域がある。
  6. 政府は、フィリピン人労働者の福祉と権利を保護し、支援するために総務的・地域的対策を立案すべきである。
  7. 海外労働者や移民の家族に対する福祉政策を充実すべきである。
  8. 政府は、海外労働者や移民の帰国促進政策を実行すべきである。帰国促進政策は、海外労働者に関する諸政策の中で最も対策が遅れている分野である。
  9. 医療・年金等の社会保障を充実させるべきである。海外労働者や移民は、本国への送金等によりフィリピン経済に大きく寄与しているにもかかわらず、フィリピン政府が実施している社会保障政策の恩恵が受けられないので改善すべきである。
  10. 政府は、移民を支援する社会的グループに対し財政援助すべきである。法的には政府は、移民の保護においてNGOsの役割を認めているが、実際は歓迎しておらず、こうした点を改善すべきである。

PMRWの関係者は、アロヨ新政権が海外への労働者の送り出し政策においてこれらの点を考慮することを希望すると述べた。

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