EU加盟国の労働コストについて
Eurostatの報告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

Eurostat(欧州共同体統計局)は2001年3月に、1999年の加盟各国の労働コストに関する報告書を公表した。

それによると、まず1時間あたりの平均労働コストは、EU加盟15カ国の平均で21.5ユーロであり、この数値は日本(21.9ユーロ)よりは低いものの、アメリカ(17.8ユーロ)を上回るものとなっている。

加盟国の中で労働コストがもっとも低かったのは、ポルトガル(7.0ユーロ)で、次いでギリシャ(11.8ユーロ、製造業のみ)、スペイン(15.3ユーロ)、アイルランド(16.2ユーロ)と続く。反対に労働コストがもっとも高かったのはオーストリア(27.2ユーロ)で、以下デンマーク(27.0ユーロ)、ドイツ(26.8ユーロ)、ベルギー(26.2ユーロ)、スウェーデン(25.8ユーロ)が続く。

労働コストから使用者の社会保障負担金等を除いた直接費用は、加盟15カ国の総労働コストの75.0%を占めていた。また社会保障負担金が占める割合は23.0%であった。加盟各国の税制や社会保障制度の違いを反映して、労働コストの構成も加盟各国間で 相当の違いが見られる。例えば、直接報酬(給与、臨時賞与、退職金を含む)が総労働コストに占める割合を見ると、ベルギーやフランス、スウェーデン、イタリアは60%前後であるのに対し、デンマークやイギリス、スペイン、アイルランドは75%前後となっている。

ちなみに、労働コストとは、使用者が労働者を雇用するために負担する費用を指し、それは直接費用と間接費用に分けられる。直接費用には、給与や臨時賞与、退職金等の直接報酬と、従業員貯蓄金制度への支出分や不就労日に対する手当等が含まれる。一方、間接費用には使用者に支払いが義務づけられている社会保障負担金や職業訓練費用、税金などが含まれる。

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