就業状態と老齢退職年金に関する調査結果

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

オーストラリア統計局(ABS)は、「就業状態と老齢退職年金」に関する調査結果を公表した。この調査は、雇用の多様化の現状と老齢退職年金の適用範囲等を把握するために実施された。

就業状態について

約10年前までは、典型的な雇用者(特に男性)といえば、1日に決まった時間働く常用雇用者であった。しかし、サービス産業化とともに、臨時労働者やパートタイム労働者が増加し、弾力的な労働時間制で働く者も増えてきた。このことは、今回の調査結果でも実証されている。

まず、就業形態については、定職のある人の55%は伝統的な意味での雇用者であった。つまり、1人の使用者の下で働き、有給休暇の権利を有し、期間の定めのない雇用契約で働く者である。そして臨時労働者と自認する者が18%、個人事業主が22%を占めていた。

55%を占めた伝統的な雇用者の場合、相対的に雇用が保障されている様子がうかがえる。すなわち、これらの雇用者の49%が5年以上現在の仕事に従事しており、92%が1年後も同じ仕事に就いているだろうと考えている。そして86%がフルタイムで働いていた。労働時間制については、84%が固定的な労働時間制で働いており、さらに週5日働いている者が約73%を占めていた。

臨時労働者と自認している者の特徴は、年齢層が相対的に若く、労働時間が短く、仕事に従事している期間が短いということである。具体的には、週労働時間が35時間未満である者が4分の3を超え、また41%が25歳未満であった。そしてその多くが、学業に従事しながら仕事をしていた。雇用期間については、約48%が1年未満であったが、一方で5年以上継続している者も14%に達した。個人事業主については、女性よりも男性が多く、年齢階層が相対的に高いという 特徴が見られた。さらに、その64%は5年以上同じ仕事に従事していた。また、41%の 者が週あたり41時間以上60時間以下働いていた。個人事業主のおよそ30%が他社の仕事を請け負っていた。

老齢退職年金について

使用者は、その被用者について老齢退職年金保険料を負担しなければならない。ただし、週労働時間が30時間以下の18歳未満の被用者や低賃金の被用者等について、使用者は保険料を負担する必要はない。

伝統的な雇用者のうち94%は、使用者が自らのために保険料を負担していると回答している。この数値は、臨時労働者と自認する者の場合には58%まで低下する。

これに対し、老齢退職年金がないと回答した者は、伝統的な雇用者の2%、臨時労働者と自認する者の28%を占めていた。

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