欧州理事会、雇用と職業における均等待遇に関する基本的枠組指令を採択

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年5月

2000年11月27日、欧州理事会は雇用と職業における均等待遇に関する基本的枠組指令を正式に採択した。

この基本的枠組指令は、宗教または信条、障害、年齢、性的志向を理由とする雇用および職業上の差別と戦うための基本的枠組を構築しようとするものであり、加盟国においてこれらを対象とした均等待遇原則を実行することを目的としている。ここでいう均等待遇原則とは、上述した理由に基づく直接差別、間接差別が存在しないことを意味する。直接差別は、上述した理由に基づき、別の人が同様の状況にお いて取り扱われたよりもある人が不利に扱われる場合に発生し、間接差別は明白に中立的な規定や基準、または慣行が特定の宗教または信条、障害、年齢、性的志向を持つ人に対し、著しい不利益をもたらす場合に生じる。さらに、ハラスメント(嫌がらせ)も差別の一形態と見なされる。

同指令は、雇い入れの段階から、職業訓練、解雇や賃金を含む労働条件全般、労働 者や使用者の団体への参加・加盟等を対象とし、公共部門および民間部門双方に適用される。ただし、国籍に基づく異なった取扱いは対象とされておらず、また国による社会保障給付等には適用されない。

上述した以外に同指令には、異なった取扱いが差別とならない職業要件や障害を持つ人々に関する合理的便宜措置、年齢に基づく異なった取扱いの正当理由、ポジティブ・アクション、救済・実効措置などに関わる規定が設けられている。

同指令は、2000年12月2日に発効し、加盟国は遅くとも2003年12月2日までに指令の内容に従って国内法を整備しなければならない。ただし必要であれば、障害・年齢差別に関する規定については2006年までの猶予が認められる。

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