定年制、2006年までに廃止

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年5月

政府は、2006年までに定年制を廃止する方針を固めた。新法が導入されれば、従業員は自ら選択した年齢まで働くことができる一方、使用者は労働者に一定年齢での退職を求める条項を雇用契約に設けることは禁じられる。政府は2001年2月14日に下院雇用委員会に同方針を伝えるとともに、法案の準備に向けて作業部会を設置した。

これまでイギリスでは、日本と同様に、各使用者が定年を設けるのが慣行となっていた。現在の定年年齢は、一般に、男性が65歳、女性が60歳。

新法は、使用者が従業員の退職すべき年齢を、「客観的に正当」と認められない限り、規定する ことを違法とする。たとえば、65歳という年齢が、ある仕事(たとえば、若者向けテレビ番組のプレゼンター)を遂行するうえで完全に障害となるということを使用者が証明できない限り、当該 従業員を65歳で退職させることは不可能となる。

新法はまた、従業員に対して、同法を侵した使用者を雇用審判所に訴える権利を与える。

今回の動きは、2000年10月に可決されたEU指令に従う必要から生じた。同指令は、各加盟国 政府に対し、2003年までに性的志向と信条に基づく雇用差別を、また2006年までに身体障害と年齢による雇用差別を、禁じる法律を導入するよう求めている。英国政府としては、定年の廃止によ って技能労働者の不足を少しでも緩和させたい意向もある。マーガレット・ホッジ雇用相によれば、2006年の新法導入まで政府は、職場における年齢差別を防止するための自主的な行為準則の導入を精力的に促進していくという。

法案を準備していくにあたり、政府は顧問団を結成している。英国産業連盟、公認人事開発協会、中小事業サービス、TUC、年齢を考える会、年齢に関する使用者フォーラム、等の代表者からなる。

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