失業率の再上昇と政府の総合失業対策

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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失業率の再上昇

統計庁によると、2000年12月の失業者数は89万3000人で11月より9万6000人増え、失業率は4.1%に上昇し、1999年4月(4.1%)以降初めて4%台を記録した。この背景には主に季節的要因として農林水産業や建設業における仕事量の減少と、求職活動に入った大学生(卒業見込み者を含めて)の増加などが影響している。年齢別失業者数の増加幅をみると、10代(3万3000人)と20代(3万2000人)のそれが全体の7割近くを占めるなど、その増加ぶりが目立った。

そして就業者数は2085万7000人で11月より50万9000人減少した。業種別にみると、農林水産業で46万6000人、製造業で6万1000人、建設業で4万4000人がそれぞれ減ったのに対して、失業対策事業の増加などにより事業・個人・公共サービス部門では3万6000人増えた。

2000年1月に入ってからも失業率の上昇傾向は続いている。失業者数は98万2000人2000年12月より8万9000人増え、失業率は0.5%ポイント上昇し、4.6%を記録した。年齢別失業率をみると、10代が15.1%で最も高く、次いで20代7.8%、40代3.9%、30代3.5%、50代3.3%などの順となっている。

失業期間1年未満の失業者の離職事由をみると、早期退職、整理解雇、休・廃業など構造調整の影響を受けた失業者数は9万3000人で2000年12月より1万7000人増えた。また、就業意志および能力はあるものの、労働市場のミスマッチで再就職できず、求職活動を断念した失業者数は15万9000人で、2000年12月より3万2000人増えた。その他に一時休職者数も16万8000人から50万4000人に急増した。

そして就業者数は2028万6000人で2000年12月より57万1000人減少した。業種別にみると建設業で24万8000人、農林水産業で20万3000人、製造業で5万1000人それぞれ減った。特に建設業の場合、冬季や旧正月連休などの季節的要因で建設工事が急減したのがその背景にある。

政府の総合失業対策

政府は1月17日、次のような主な項目を盛り込んだ「2001年総合失業対策」を確定した。第一に、緊急避難措置として、季節的要因や構造調整の影響などにより失業率の急上昇が予想される第1四半期に2001年度の失業対策事業費6500億ウオン(100ウオン=9.59円)のうち2935億ウオン(約45%)を集中的に投入し、18万1000人を対象に失業対策事業を実施する。このような失業対策事業で年平均12万人分の仕事を確保することにしている。

第二に、失業者20万人を対象に職業訓練を実施するが、その際、労働力需要の多い情報通信業、サービス業、3K業種への再就職に焦点を合わせると共に、構造調整に伴う失業者、青少年、日雇い労働者、女性、障害者などの対象別特性やニーズを考慮する。第三に、構造調整に伴う失業者の再就職を支援するために、雇用保険の採用奨励金を上半期まで延長し、地域別に「構造調整失業者支援チーム」を設ける。その他に、企業自らが従業員を対象に再就職に必要な情報や資金、教育訓練の機会を提供する「転職支援プログラム」を支援する。

2月20日には、雇用情勢がもっとも厳しい大卒見込み者や40~50代の失業者を主な対象とする「特別失業対策(主に職業訓練支援)」を推進することも明らかにした。

労働部雇用政策室長は政府の総合失業対策に関連して、「第1四半期の失業者数と失業率をそれぞれ94万4000人、4.3%(年平均では83万人で3.8%)台に抑えるために、成長産業の育成、職業訓練の強化、再就職支援、社会安全網の拡充など、短期的処方箋よりは長期的な観点から雇用安定を保つための基盤づくりに取り組む」と述べた。

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