NTUCの2001年活動予定、米経済の減速にらみ労働者の技能向上が急務

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

シンガポールの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年3月

全国労働組合会議(NTUC、67組合31万6000人)は2001年1月10日、2001年の主要方針を発表した。米国経済の景気下降が予想されるため、労働者の技能向上を高めるとともに、職を失う可能性のある管理職の公平や処遇を保障することが急務であるとの認識を示した。

NTUCは発表の中で、米国の景気減速はシンガポール国内のエレクトロニクス、小売、建設の各部門に影響を与え、企業は引き続きリストラすなわち雇用削減を進めるだろうとの厳しい見方を示した。また、現在の景気見通しは2カ月前よりさらに不透明で、シンガポールが次の不況に見舞われるのは何年も先だと仮定するのは賢明ではないとする幹部もいる。

より高い技能レベルを持つ労働者には安定した雇用が確保され、彼らを雇用する企業の競争力増大に貢献するだろうとの認識から、NTUCは2001年に、技能再開発プログラムなどの施策を通じて、全国で10万カ所の訓練所を労働者に提供していく方針である。また、組合が組織されている600の企業に対し、景気悪化の際に雇用確保のため直ちに賃金カットのできる月間可変給の導入を促していく。

また、前回の不況で失職または不当解雇に追い込まれた管理職がNTUCに救済を求めるケースが少なくなかったことをふまえ、NTUCは、こうした管理職が一般従業員の組合に所属できる方向で労使関係法を改正するよう政府に求めていく方針で、2001年中に実現させたい意向である。

なお、2001年のNTUCの活動予定は次の通りである。

  • 技能の向上と労使関係
    • 労働者に約10万カ所の訓練所を提供
    • 組合を組織する600社の労働者に月間可変賃金を導入
  • 地域開発
    • 慈善事業として100万ドルの資金を集めるウォーキング・キャンペーン
  • 指導者能力開発
    • 約8000人の組合活動家の訓練
  • 生産性向上
    • 企業による柔軟な労働協約の提案や高付加価値業務への移行を支援
  • 転職労働者にも適用される移転可能な医療給付資格
    • 失業中の労働者の早期再就職を支援するカウンセリング

2001年3月 シンガポールの記事一覧

関連情報