浮遊し続ける労働市場

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

労働力省の第3四半期労働市場報告によると、2001年の労働市場はなお安定せず、失業者数が大きく変動する見通しである。9月の季節調整後の失業率は、好景気と人員削減の沈静化により2.5%まで下がり、過去2年間で最低水準となったが、経済危機以前の平均2.0%よりはなお高い。

第3四半期の解雇者数は1755人で、169社が従業員の削減を実施した。第3四半期の求人市場は全般的に良好で、求人数は9月に3万2400人へと飛躍した。これは6月に比べて約9%、1年前に比べて29%高く、したがって第2四半期に解雇された現地人の3分の2は、失職後3~6カ月で新しい仕事を見つけている(平均1.3カ月)。

求人数の増加と求職者の減少で、季節調整後の求人と求職者の比は1対1の水準を30 カ月ぶりに破り、1.13対1となった。つまり求職者100人に対し113人の求人があることになる。第3四半期の就業者数は3万人以上増加し、これで2000年1~9月までの就業者は7万3400人以上増加したことになる。これは、1999年の年間総増加数の3万9900人を上回る数字である。

しかし、同報告は、大量の新規求人などで労働市場は引き締まってきたものの、サービ ス産業が高技能職業へ移行しているなど、企業の高付加価値戦略にともなうリストラや合理化で解雇は今後も続くだろうと警告している。そのため、現在減少傾向にあるかに見える失業者数は、むしろ今後変動しやすくなるものと予測している。

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