シンガポールの賃上げ率、アジアで最低

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

2000年の経済成長率が10%近くを達成したにもかかわらず、シンガポールの賃上げ率は、2000年と2001年にアジアで最低を記録しそうである。14のアジア諸国を対象にしたウイ リアム・M・マーサー社による年次調査(2000年)によると、シンガポールの実質賃上げ率は2000年が3.6%、2001年は2.9%にとどまる見通しである。

これに対し、主要な競争相手国の賃上げ率は5~8%で、たとえば香港7.8%、韓国5.8%、 台湾5.3%と予測されている。

同調査によれば、シンガポールの上級管理職の2000年年俸総額(各種報酬込)は、約11万7400米ドルで、香港より33%、日本よりは35%低い。専門職の場合は、3万1130米ドルで、香港より28%、日本より50%も低い。また、一般従業員については、日本や香港だけでなく、韓国や台湾をも下回っている。

こうした調査結果について、マーサー社のアジア地域業績報酬慣行担当会長リチャード・ペイン氏は、10%近くの経済成長率を達成しているにもかかわらず、給与コストの上昇率を台湾、韓国、香港等よりも抑制していることは特筆すべきことだとして、シンガポール政府のコスト削減努力を高く評価している。また、中央積立基金(CPF)の使用者掛け金率が4ポイント回復されることに関して、企業側のコスト増はそれほど厳しいものではないだろうとの見方を示している。

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