「欧州の雇用2000」の発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

2000年11月28日、欧州雇用・社会政策理事会は、EU域内と加盟候補国の雇用情勢やその見通しを分析した報告書「欧州の雇用2000」(「Employment in Europe 2000」)を発表した。

報告書の主な内容を見ると、まず、1999年には200万人分以上の新規雇用が創出され、就業率が62%を超えた(1998年は61.4%)。こうした状況は、2000年と2001年にも続くことが予測されている。次に、失業率は、1999年の年平均で9.2%となり、低下傾向が続いている。ただ、依然として深刻なのは、長期失業者問題である。

今回の報告書ではこれ以外に、ジェンダー的観点からの分析と雇用の質に対する分析が行われている。報告書によると、雇用創出による恩恵をより受けているのは主に女性であり、1994年以降創出された680万人分の新規雇用のうち、およそ3分の2に女性が就業している。

1999年には、新規フルタイム雇用の数が、新規パートタイム雇用の数を90年以来初めて上回った。その一方で、新規雇用の約4割が臨時的なものであったことから、雇用保障やキャリア開発に対する懸念が高まっている。

また、知識社会の到来とともに、高い技能あるいは高等教育を受けた労働者が、雇用の伸びに大きく寄与している状況も明らかにされている。

同報告書は、リスボン欧州理事会が提示した新しい雇用目標を射程に入れながら分析と予測を行い、そのうえで、1999年のEUの雇用情勢は、おおむね良好であったと締めくくっている。

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