政府、生産性向上で労使に協力を要請

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

ゴードン・ブラウン蔵相は、英国産業連盟(CBI)と労働組合会議(TUC)に対し、生産性の向上をはかるため、政労使による協力体制への参加を呼びかけている。生産性の向上を妨げている障害のそれぞれに関して作業部会を設置し、対策を講じていきたい意向である。

生産性向上の障害として特定されているのは、①企業間の競争制限的協定、②低技能、③低投資、④イノヴェーションへの抵抗、⑤低い科学技術活用率、⑥不適切なマネジメン ト、の6種。蔵相の案によれば、それぞれの障害に専門作業部会を設置し、各部会は、①生産性向上について高低それぞれの業績事例をあげる、②労働双方に改善提案を求める、③問題点を検出して政府に報告するなどを行う。

今回の提案の背景には、英国の生産性上昇率が1990年代に低下していることや、他の競争国との生産性格差が広がっていることがある。

国立経済社会研究所の調査によれば、生産性上昇率は、1990~95年は2.64%であったが、1995~99年は1.51%へと低下している。好景気で低技能の労働者まで職に就いたため、労働力の平均生産性が低下したことが一因として指摘されている。また生産性格差に関しては、米、独、仏の生産性に対して、英の生産性は平均で35%下回っている。

今回の提案に対してCBIは、生産性向上を政策目標に掲げたことは歓迎するものの、CBIが実際に協力体制へ参加するかどうかは会員企業の承認を待たなければならないと、やや 冷めた反応を示している。

一方TUCは、労使間のいわゆるパートナーシップがすでに多くの企業に利益をもたらしているなか、今回の提案はさらに多くの分野でパートナーシップ協定が締結されるのに寄与するだろうと、これを歓迎している。

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