社会保障費の負担額、2002年まで据え置きに

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年1月

社会保障委員会は、各地方の商工会議所からの社会保障費5年間据え置き要請を受け、現在の負担額3%を2002年の終わりまで引き上げないことを決定した。現在、使用者と労働者の両者は、職場での事故、病気、妊娠、障害、死亡に対する補償のために毎月月給の1%を、児童手当、年金のために2%を負担している。

近く予定されていた保険加入者の配偶者や農業労働者、インフォーマル・セクターの労働者への社会保障の適用は、社会保障基金の収入が期待されていたほどではなかったため、延期されることになった。従業員が1人のみの企業に対する適用は、2001年4月1日からとなっている。

また、社会保障局は、各企業の使用者に対して、児童手当が必要な従業員は、2000年10月31日までに社会保障局に扶養児童証明の届出をするように呼びかけることを促した。届出をしないものは、手当は差し止められることになった。

年金基金と企業厚生基金

経済分野の大臣らは、10月16日の会合において、タイの年金基金と企業厚生基金の改革案を認可した。年金制度の目標として、退職者が退職後の生活水準を維持するのに十分な水準を挙げている。また、年金基金がタイ経済のなかで財政的に持続可能に運営していくことも念頭に置いている。

現在、社会保障基金の加入者、つまり10人以上の従業員を抱えるすべての企業は、退職する前の5年間、平均賃金の15%を支払うという仕組みになっている。社会保障基金の受益者は、少なくとも15年間の支払いを行った、55歳以上の退職者が対象となる。

しかし、社会保障分野の研究者らの推計によれば、受け取り年金額は、退職前の平均賃金の約60~70%にしかならないとの結果も出ており、退職前の生活水準の維持は難しそうである。

今後、社会保障の対象者は国営企業の従業員と政府関係者にも拡大される予定である一方、専門家や建築家といった独立した労働者に対しては「退職相互基金」(Retirement Mutual Funds)が設けられる予定である。

現在タイの人口は6100万人で、そのうち約半数の3200万人が労働力人口と考えられている。そのうちの23%、770万人が年金制度に加入している。社会保障基金には現在570万人が加入している。公務員のための政府年金基金と民間の企業厚生基金にはそれぞれ、100万人が加入している。

参考

  • タイ国経済データ

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