新男女機会均等法、使用者に立証責任

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年1月

今秋、新均等法が議会で可決され、2001年1月1日に施行される見込みである。新法により、雇用者の地位が下記のいくつかの点で改善される。

  • 雇用者が差別されているのではないかと疑われる場合、「疑う根拠を示す」事実を提示できれば、使用者側は、不均等な待遇が差別ではないこと、つまり、賃金、採用、昇進に関する使用者の決定が性別による差別ではないことを立証しなければならない。
  • 使用者は、職場における男女機会均等計画を策定しなければならない。職場で男女間に不当な賃金格差が認められる場合、使用者は3年以内に男女間の平等を実現しなければならない。
  • 採用過程全体が男女間で平等でなければならない。使用者が求人を行いながら、応募者が女性ばかりだという理由で誰も採用しなかった場合、これは差別と見なしうる。
  • 職場組合は、その企業のすべての賃金情報を入手できなければならないが、その情報を公表してはならない。情報入手を新たに保証する目的は、差別的な賃金慣行を見つけ、撤廃することにある。

現在のところ、各労組に、他の組合の組合員の賃金・給料は知らされていないことが多い。企業内の組合は、それぞれの組合に加入している組合員に支払われる賃金に関する情報しか得ていない。しかし、新法が施行されれば、組合員以外の賃金・給料についても十分な情報が得られ、それらを比較して企業内の賃金体系の全体像を把握できる。実際には、ブルーカラー、ホワイトカラー、管理職、専門職のいずれの職場組合もその企業の賃金情報を完全に入手できることになる。しかし、組合は、その情報を公表してはならない。例えば、組合の掲示板に載せるようなことは禁止される。

  • 企業は、賃金および俸給の見直しを毎年行わなければならない。使用者は、企業内の男女諸グループの賃金を分析して、差別的な賃金格差がないかどうか見きわめる必要がある。つまり、労働市場の各関係者は、異なる職種を比較する方法を生み出さなければならない。
  • 新法は「同等価値の職」を定義している。同等の価値を有するかどうかは、その職に必要とされる知識、技能、責任、身体的・精神的負担に基づいて判断される。現在、女性が差別されていると申し立てるには、より高賃金を得ている男性がいなければならないが、新法が施行されると、この制約はなくなる。

機会均等オンブズマンは、現行より厳しい新法に満足している。「同等価値の職」が法律で定義されたこと、使用者が賃金格差の有無だけでなく、他の雇用規定や労働条件についても毎年調査しなければならないことを特に喜んでいる。

当初の政府委員会案を補足する提案をいくつか提示してきた組合は、新法を歓迎している。一方、使用者側は、体系的な職務評価が新たに要求され、それがあまりにも煩雑かつ官僚主義的で、時間を要するのではないかと懸念している。使用者に言わせれば、体系的な職務評価は負担になりすぎるという理由で、30年ほど前に廃止されたものである。しかし、均等オンブズマンによれば、各地の当事者間で取り決める職務評価制度が完全なものでなければならないと考える必要はなく、以前の制度よりかなり簡単な評価制度を使う機会も増えている。そもそも、賃金制度はいずれも、何らかの職務評価に基づいている。絶対に公正だと言える制度はないが、職場ごとに取り決める制度は、男女の雇用平等を推進するために必要な手段になると考えられる。

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