9月末現在の賃金交渉妥結状況

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年12月

労働部のまとめによると、9月末現在従業員100人以上の事業所5116カ所のうち3985カ所(77.9%)で賃上げ交渉が妥結し、平均賃上げ率は7.8%(1999年同期1.8%、以下同様)を記録した。

業種別妥結状況をみると、まず、鉱業部門では鉱山労連側が産省資源部(通産省に当たる)との廃鉱対策費交渉と賃上げ交渉を分離することにしたのを機に、9月中に賃上げ交渉が集中的に行われたため、11カ所のうち10カ所で賃上げ交渉が妥結し、平均賃上げ率は4.2%(3.0%)を記録した。また、製造業においても2375カ所のうち2136カ所(89.9%)で賃上げ交渉が妥結し、平均賃上げ率は8.6%(2.5%)に達するなど、比較的に順調に進んでいる。

それに対して、金触・保険業部門と電気・ガス・水道事業部門の場合、構造調整との絡みで労使間の見解に隔たりが大きいところが多いこともあって、賃上げ交渉が妥結したのは、それぞれ158カ所のうち63カ所(39.9%)、20カ所のうち10カ所にとどまっているものの、平均賃上げ率はそれぞれ6.6%(-0.7%)と13.8%(-1.6%)に上るなど大幅な回復傾向をみせている。

次に規模別妥結状況をみると、まず、従業員300~999人規模の事業所(1139カ所のうち912カ所(80%))と100~299人規模の事業所(3613カ所のうち2831カ所(78.4%))では、賃上げ交渉が比較的に順調に進み、平均賃上げ率は、それぞれ8.1%(2.1%)と7.4%(2.6%)を記録した。それに対して1000~4999人規模の事業所(321カ所のうち217カ所(67.6%))と5000人以上規模の事業所(43カ所のうち25カ所(58.1%))の場合、賃上げ交渉が妥結したところはそれほど多くない。平均賃上げ率は、それぞれ8.4%(1.0%)と7.4%(1.1%)を記録するなど、軒並みに大幅な上昇傾向をみせている。

ロッテ・ホテルの賃上げおよび労働協約改訂交渉妥結

8月21日、ロッテ・ホテルにおける賃上げおよび労働協約改訂交渉がようやく妥結し、6月9日に同労組がストライキに突入してから予期せぬ展開をみせながら長引いていた労使紛争は終結した。

同ホテルの労使交渉で主な争点になったのは、「非正社員の正社員への身分変更、2桁台の賃上げ、一方的な仲裁条項の削除(労使どちらかの一方が労働委員会に仲裁を求めることができるようにした条項で、団体交渉および団体行動権を制限する手段になるとして労組側がその削除を求めたもの)など」である。このような争点をめぐっての労使交渉が難航し、労組側の争議行為が長引く気配をみせるなか、6月29日に政府が警察隊を投入し、同ホテル内で争議行為を続けていた組合員1100人余を強制退去・連行したのを機に、同ホテルの労使紛争は予期せぬ展開を見せ始めた。つまり、同労組の上部団体である民主労総が対政府闘争を強化するほか、国際労働団体(ICFTU、IUFなど)からも政府に対する抗議文が殺到するなど、政府の強硬策が労働界の対政府闘争に火をつける格好になってしまったのである。そういうなかで女性組合員327人が同ホテルの役職員を相手にセクハラ訴訟を起こし、経営側に圧力をかける場面もみられた。

その後、7月31日には崔労働長官の仲裁で労使は前述した主な争点については合意に達したものの、最後の詰めのところでストライキ参加者に対する懲戒の範囲とその程度をめぐって、再び交渉が難航し、話し合いは決裂してしまった。新任の金労働長官の仲裁で8月14日から労使交渉が再開され、8月21日に次のような案で最終合意に達した。

まず、非正社員の正社員への身分変更の条件として、勤続年数満3年以上になると自動的に正社員になることが決まった。この合意案の発効とともに、非正社員113人が自動的に正社員になる。今回の合意案は、民主労総が2000年の労使交渉の主な課題として傘下事業所別組合に呼び掛けている「非正規労働者の正規労働者への身分変更」の一つの先例になるものとして、その波及効果が注目されるところである。第2に、賃金の10%引き上げ、一方的な仲裁条項の削除(2002年5月31日から)、セクハラ防止策の実施、労使双方間の告訴・告発の取り下げの他に、スト参加者に対する懲戒の範囲とその程度を最小限に止めることや、スト期間中の賃金は支給されないため、勤務奨励金の名目でボーナスの0.7カ月分を追加支給することなどが合意された。

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