2大労組、ベア要求に全組合員動員を予告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

国内2大中央労組は、2000年下半期に迎える主要労組の組合員250万人の労働契約の更新に際し、インフレ以上のベア要求のために、全組合員を動員すると発表した。各労組が現在まで提出したベア要求は10~20%となっており、政府が2000年に予想している公式インフレ上昇率の6%からすると、かなり高い要求内容である。

労組側は、経済回復と工業生産の増加を要求理由として挙げており、170万人のベア交渉を代表するとしているフォルサ・シンジカルのパウロ・シルバ委員長は、使用者が労働者の要求に応じない場合、各会社で多くのストや抗議集会が起こるだろうと予告した。もう一つの中央労組である CUTのジョン・フェリシオ総務は、84万人の代表として「企業が得ている非常に高い利益からして、使用者がインフレ分程度の調整策を提案しても受けつけない」との声明を発表した。

フォルサ・シンジカルでは、9月24日にサンパウロ市中心街で5~10万人を集めてベア要求運動のスタートを切る計画にしており、群集を集めるために人気歌手と契約してショーを開催し、参加者のうち組合費を払っている労働者に、抽選で5台の小型大衆車を授与すると発表した。フォルサ・シンジカルは、人気歌手と自動車抽選で群集を集める作戦をいつも採用しており、去る5月1日のメーデーにも、同じ手法でサンパウロ市内の飛行場に約100万人を集めた。

2000年9月以降年末までに、サンパウロ州で年間労使協定が更新される業種は、金属、化学、商業、食品工業、繊維、印刷、航空会社などがあり、労組は交渉成果を上げるために、要求を統一することとしている。

基本的要求は、実質10~15%のベア、週当たり労働時間の44時間から40時間への短縮など、使用者側との対立が予想される項目が並んでいる。フォルサ・シンジカルでは、群集を集める作戦の理由を「労働者が集会に参加することによって、団結による運動に自信を持たせることだ」と説明した。抽選で自動車を提供する経費は、7万レアル(1ドルは約1.80レアル)を要するが、労組の他の集会、例えば、金属労組の総会を成立させるために必要な出席者を集めるには、送迎用バスの貸切料金だけで5万レアルを要するので、産業別労組の総会経費程度で済むと説明した。

一方、CUTは、銀行、金属、石油精製、化学労組が中心となってベア要求運動を盛り上げる作戦を取る。これら強力な労組は、時短、ベア等を以前から要求している。銀行労組は、給料補として6.13%、生産性向上分として19.8%要求を使用者側に提出した。石油精製労組は、インフレ損失補として8%以上、生産性向上分13.84%を要求している。同労組は1994年7月のレアル計画以降の損失を38.75%と計算している。

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