職場関係省、アワード等の適用状況調査結果を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年10月

雇用職場関係小規模事業省(DEWRSB)は、1999年末にアワード等の適用状況を調査した。豪州の労働条件決定システムは近年多様化し、連邦レベルではアワード以外に、労組等との間で締結される認証協定やオーストラリア職場合意等を通じ賃金等の労働条件が決定されている(州レベルでも同様のシステムが存在する)。職場関係法制定以降、これらの適用状況を包括的に調べたものがなかったことから、DEWRSBは最新の情報を得るために今回の調査を実施したのである。

調査結果

今回の調査は従業員数5人以上の企業を対象とし、以下の4つに労働者を分類し調査を行った。すなわち、(1)アワード賃金が支払われる労働者、(2)非公式な未登録協定等に基づきオーバーアワード賃金(アワードで定められた賃金率を超える賃金)を受けている労働者、(3)登録された団体協定(締結当事者の一方が、労組または労働者グループである協定をいう)の適用を受ける労働者、(4)上記以外のシステムの適用を受ける労働者(オーストラリア職場合意やクインズランド州職場合意を含む)である。

上述した賃金システムは、同一企業内で併存可能であるため、まず各企業に適用されている賃金システムの数が調査されている。これによると、企業内で利用されている賃金システムの平均は1.7であり、大企業ほどその数が増える傾向にある。例えば、従業員100人以上の民間企業は平均して2つの賃金システムを利用していた。3つまたは4つのシステムを利用していたのは、民間企業で11%、公共部門で23%に達している。

第2に、各システムの適用状況は、労働者のうち、(1)の占める割合は22%、(2)が22%、(3)が42%、(4)が14%となっている(表参照)。(3)の多さが目を引くが、一方で、(3)の団体協定を利用していた企業は全体の13%にすぎなかった。つまり、団体協定を利用している企業の数は相対的に少ないが、公共部門や大企業での利用が多いために、適用労働者の割合が高くなったと思われる。

また、アワードへの依存度が特に高いのは、従業員100人未満の民間企業で働く労働者であり、(1)の占める割合は、従業員5人以上19人以下の民間企業では33%、20人以上99人以下では38%となっている。他方、公共部門では(1)の占める割合は13%に留まっている。

フルタイム、パートタイム労働者別に(1)から(4)の占める割合を見てみると、パートタイム労働者(週労働時間が35時間未満)の場合は、(1)が44%、(2)が12%、(3)が38%、(4)が6%で、フルタイム労働者では、(1)が13%、(2)が27%、(3)が44%、(4)が17%であった。パートタイム労働者の場合はフルタイム労働者に比較し、アワードに依存する者が多いことがわかる。

第3に、今回の調査は、(1)から(4)に分けて、フルタイム労働者の週平均賃金(時間外労働を除く)も調べている。これによると、(1)の週平均賃金は586豪ドル(1豪ドル=59.25円)、(2)は789豪ドル、(3)は718豪ドル、(4)は990豪ドルであった。(4)が高いのは、この賃金システムが管理職層等で利用される傾向にあるためである。

各賃金システムの適用労働者の割合(%)
  アワードのみ(1) オーバーアワード/未登録協定(2) 登録された団体協定(3) その他の方法(4)
民間部門(計) 26 30 29 15
規模別  
従業員5人以上19人以下 33 51 5 12
従業員20人以上99人以下 38 46 10 6
 従業員100人以上 19 19 43 19
公共部門 13 1 76 10
22 22 42 14
  • 出所:DEWRSB, Award and Agreement Coverage Survey 1999 より作成。
  • 注:小数点以下切り捨てのため、合計が100%にならないものもある。

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