労使関係局の調停未処理件数が増大

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年10月

労使関係局による労使紛争の調停作業が滞っており、現在、未処理件数は全国で約5200件にのぼっている。長期にわたって調停が行われないケースも増えており、労働者の不満が高まっている。

マレーシア労働組合会議(MTUC)によると、未処理ケースの増大は、労使関係局の職員不足のためである。ラジャセカラン書記長は、「職員が十分に確保されていないため、労使関係局の業務は効率性が低下している」と人的資源省を非難している。未処理ケースのなかには、20カ月以上も待たされている労働者もいる。MTUCは、労働者の不満が高まっており、ピケを張る計画も浮上していると警告している。

労使関係局は人的資源省に属し、解雇に絡む補償問題などで労使紛争が生じた場合、労使を再び交渉の場につかせるなど、両者を調停する機能を持つ。「1967年労使関係法」の規定では、労使関係局は、一定期間内に労使の話し合いによる問題解決を試み、決着がつかない場合には人的資源大臣に報告し、紛争処理を労使裁判所へ移すかどうかの判断を人的資源大臣に委ねる。そのため、労使関係局の調停がないかぎり、労使裁判所に提訴することができない。

人的資源省は事態を重く見て、各州の職員を中央に集めるなど、担当職員を増やして対応することを約束した。フォン人的資源大臣は、労使裁判所でも未処理ケースが増大していることを懸念し、12人いる法廷の責任者に処理を急ぐよう指示した。

労使関係局に持ち込まれた紛争件数の推移
  1997年 1998年 1999年 2000年上半期
繰越 1,459 2,123 4,275 4,511
新規申請 3,524 8,819 5,369 2,482
処理件数 2,880 6,667 5,133 1,740
処理率(%) 57.4 60.9 53.2 24.9
処理方法の内訳
  1997年 1998年 1999年 2000年上半期
調停受入れ 2,060 5,003 3,346 1,239
労使裁判所への提訴 713 558 1,419 444
その他 87 778 368 57

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