欧州委員会、新社会政策に関するアジェンダを採択

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年10月

欧州委員会は2000年6月28日、新たな社会政策に関するアジェンダを採択した。アジェンダの主な内容は、欧州の社会モデルの現代化、より多くの良質な仕事の創出、およびリスボン欧州理事会で設定された政治的責務を具体的行動に移すことである。

アンナ・ディアマントプル雇用・社会問題担当委員は、新たな社会政策に関するアジェンダの採択について、「その目的は、欧州の経済・社会の急激な変化から生じる社会的課題、とりわけ知識経済からもたらされる課題に立ち向かうことである。我々は、社会政策を調和させることではなく、リスボン欧州理事会で合意された戦略的な目標(つまり、欧州経済を、より多くの良質の仕事とより強い社会的結束を伴った経済成長を支えうる競争力のあるダイナミックな知識経済にすること)を達成するために、欧州の共通目的に向けての支持を動員することを望んでいる」と語った。

欧州は、より発展した社会政策をもって、高度の技術を有する国々または低賃金の国々と十分に競争している。かつて、欧州連合は社会政策によって、負の社会的影響を最小限にする一方、構造上の変化を管理することができた。将来は、人々への投資および積極的福祉国家の建設によって欧州の社会モデルを現代化することが、経済のパフォーマンスを改善する一方、欧州の社会的価値、つまり連帯と正義を維持することにとって不可欠である。

欧州連合は、よい社会的条件を、高い生産性および高品質の商品やサービスと結びつけ続ける必要がある。これが、欧州の社会モデルの主な特徴である。ダイナミックで競争的な経済におけるより多くの良質な雇用が、社会的結束を強化する。さらに、ソーシャル・パートナーによる適正な賃金の追求は、好適なマクロ経済環境を維持することで重要な役割を演ずる。

同アジェンダは、雇用、知識経済、国際化ないしグローバル化に関する挑戦と機会を調べている。その焦点は、繁栄する経済、より多くの良質の仕事および包括的社会のための推進力としての「質」を向上させることである。

同アジェンダでは、広範囲にわたる措置が概説されている。例えば、いくつかの措置は、より多くの良質の仕事の創出、変化の予測と管理、新たな労働環境への適応、知識経済の可能性の開発および流動性の促進によって、欧州における完全雇用の実現を目的としている。その他の措置は、主に社会保護の現代化と改善、社会統合の促進、男女平等の強化、基本的権利の補強および差別禁止に関するものである。

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