労使関係委員会、アワード適用除外規定の削除を認める

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年9月

2000年5月末に、オーストラリア労使関係委員会(AIRC)は重要な決定を下した。争点は、アワードの適用除外規定であり、オーストラリア・サービス組合(ASU)はその削除を求めていた。ASUが締結当事者となっているアワードには、アワード適用除外者としてアワードで定められている最高賃金率を週25豪ドル(1豪ドル=63.95円)以上上回る賃金を受けている成人労働者が定められていた。

これに対しAIRCは、25豪ドルという基準で事務・管理職労働者を事実上アワードの適用から外すこのような規定を認めないという決定を下した。その際にAIRCは、この適用除外規定が職場関係法に定められている「不利益審査」に反するとの見解を示した。

この事件は、ASUがオーストラリア労働組合評議会(ACTU)の支援を受け提起したもので、アワードが事務・管理職労働者に適用されるかどうかを確認する目的を持っていた。近年、使用者はこれらの労働者を個別雇用契約に移行させることで、これらの労働者の組織化を阻止しようとしてきた。さらに、企業別交渉導入以降、職場では年俸制が広く利用されるようになり、これが事務・管理職労働者の長時間労働とサービス残業をもたらすようになっている。

今回の決定は、事務労働者でも労働条件の最低保障としてのアワードの適用を受けうるということを意味し、その結果これらの労働者は、アワードに基づき時間外労働に関する割増賃金等を請求する権利も獲得することになる。これにより、この種の労働者の賃金は飛躍的に改善することが見込まれ、今回の決定はホワイトカラー労働者の再組織化を促すものと評価できる。

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