ジョブ・ネットワークの評価調査
―第1次報告書が公表される

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

現政権は、公共職業紹介所(CES)を廃止し、それまで政府が行っていた公共職業紹介業務を民間機関等に委託した。その結果、現在では民間職業紹介機関等から成るジョブ・ネットワークを通じ職業紹介サービスが提供されるようになっている。

このジョブ・ネットワークの実績について、雇用職場関係小規模事業省は、何回かに分けて評価報告書を作成する予定であり、今回その第1次報告書が公表された。

報告書の内容

第1次報告書は、主にサービスの利用度と質に焦点を絞り調査を行った結果である(調査対象期間は、1998年のサービス開始時点からその後の17カ月間である)。

ジョブ・ネットワーク参加機関は、(1)求人・求職のマッチング(職業紹介など)、(2)求職技術訓練(履歴書の書き方、面接の受け方など)、(3)個別支援、(4)起業の支援等のサービスを提供している。そのため、報告書は、各サービスごとの評価も行っているが、ここでは報告書の大枠を押さえておきたい。

まず利用度についてであるが、同ネットワークを通じ登録された求人件数は、1998年9月時点で5万700件であったが、99年9月時点では6万9800件に増加している。求人方法としては、新聞求人広告、ヘッドハンティングに次いで同ネットワークの利用が第3位に挙げられるようになった。

「求人・求職のマッチング」サービスを通じた就職斡旋件数は、1999年9月までの6カ月間の月平均で2万6500件であった。求職技術訓練と個別支援を開始した者は、月平均で各々およそ4000人と2万人であった。

失業者等に提供されるサービスの質については、専門的なサービスや個別ニーズに即したサービスの分野での評価が高くなっている。一方、使用者の同ネットワークに対する評価は、以前の公共職業紹介所(CES)に比較し改善している。すなわち、ネットワークとCES双方を利用したことのある使用者にサービスの質について質問したところ、44%がCESよりよい、29%がCESと同程度と回答していた。特に、サービス提供の速さや対象にあわせたサービスなどでの評価がよくなっている。

改善の必要な分野についても、いくつか指摘が行われている。具体的には、同ネットワークへのアクセス面での公平性確保、登録手続やコンピュータシステム、サービスの質とその弾力的な運用のバランス等について改善が必要であるという。使用者や失業者の中には、ジョブ・ネットワークの機能やネットワークが提供するサービスを全く理解していない者もいた。しかしながら、全体的にはジョブ・ネットワークは、うまく機能しているとの評価が与えられている。

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