組合承認法の施行で、組合締め出しの動き

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

組合承認に関する規則が2000年6月6日に施行されるのを前に、雇用専門法律事務所が、企業に組合締め出しの「テクニック」をアドバイスしている。

今回、「組合締め出し」をアドバイスするセミナーを組織したのは、英国で最大の雇用専門チームを抱える欧州法律事務所のエバーシェッズ。同事務所によれば、セミナーに参加している企業は、マクドナルド、ドウ・ケミカル、フェデックス、ジェヴロン、キヤップ、オメガ・ワールド・トラベル、トランスワールド・エアライン、ナスダック・インターナショナル、タワー・レコードなど大半が米系企業の系列子会社である。アメリカ企業は、本国でと同様に、海外子会社の事業展開が組合に妨げられるのを極度に嫌うためである。

組合の承認を義務づける規則は、1999年7月に成立し今夏に施行される雇用関係法に含まれている。それによれば、投票により全従業員の40%以上が賛成すれば使用者は組合を承認しなければならず、また、従業員の50%以上が組合員であることを組合が証明できれば、組合は自動的に承認される。同法の成立が不可避となって以降は、労使交渉をできるかぎりに有利に進めたいとの意向から、進んで組合を承認する使用者が増えていた。

今回のセミナーでは、アメリカ流の組合締め出し「テクニック」が紹介されており、その中には、従業員に反組合の立場を表明するバッジを身につけさせたり、人望のある従業員の援助を借りて同僚たちに反組合の路線を宣伝させる、などがある。

2000年5月16日に開かれたあるセミナーでは、アメリカの法律事務所タフト・ステッティニアス・アンド・ホリスターが派遣したアラン・リップス氏が参加者に対し、「アメリカ流のテクニックを用いれば、英国企業は従業員とのより良い関係を築けるし、従業員に組合の必要性を感じさせなくすることができる」と述べた。

こうした動きに対し労働組合会議(TUC)は、不必要なパニックをもたらすものであり、アメリカ企業は労使の間でパートナーシップが発展していることを認識していないと批判している。

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