MTUC、最低賃金修正案を提出

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

マレーシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年7月

マレーシア労働組合会議(MTUC)は、月額1200リンギ(1米ドル=3.8リンギ)とする自らの法定最低賃金案を「非現実的」と判断し、2000年4月末に同修正案を大蔵省と人的資源省に提出する。具体的な額は未定だが、同幹部筋によると600リンギと1200リンギの間に落ち着く見通しである。

全国のMTUC代表ら110人が参加するシンポジウム(4月16日)でランパック委員長は、法定最低賃金の導入は政府の進めている貧困撲滅に貢献するものと確信していると述べる一方、最賃導入によってマレーシアへの投資が減少するとの一部閣僚の発言を「根拠がない」と批判した。委員長によると、多国籍企業は投資先の選定基準として今日では、賃金ではなく、政治的安定、労使協調、透明性、アカウンタビリティーといった質的要素を重要視している。

委員長はまた、2020年までに先進国入りするという国家目標にもかかわらずマレーシアには今なお月収わずか250リンギの国民がいると指摘、「MTUCは低所得層の利害を守るために、法定最低賃金の導入については一切譲歩しない」とした。委員長によると、ダイム蔵相は法定最低賃金の導入をめぐって近々MTUCと話し合いの機会を持つことを約束している。

低価格住宅モデルを調査するよう政府に提案

MTUCは、また政府に対し、プトラ・マレーシア大学(UPM)の研究者らが建築した低価格住宅のモデルハウスを調査するよう提案した。

ランパック委員長によると、3部屋ある低価格住宅の場合、費用は1万4000リンギ程度で、土地価格を合わせても2万リンギを下回る可能性が高い。半島マレーシアでは住宅価格が急騰しており、3万5000~4万リンギ、サバとサラワク州ではさらに高く、6万~6万5000リンギに達しているうえ、内装が規定と異なっているという。

すでに建設済みの低価格住宅においては、居住面積が不適切となっているため、所有者は建て増しの追加コストの負担を強いられており、委員長は、住宅購入者が従業員積立基金の預金や個人的な貯金を引出した後に追加的な支出を強いられることのないよう、政府に対策を講じるよう要求した。

2000年7月 マレーシアの記事一覧

関連情報