印刷労働者が期間20カ月、4.7%賃上げの好条件で協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

スウェーデンの記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年6月

印刷技術工(グラフィクス関連技能者)労働組合(ブルーカラー労組で、ジャーナリスト以外の、紙面作成を担当する植字工など伝統的な技能工から成るが、コンピュータなどの新技術を積極的に取り入れている)と新聞発行会社間で労働協約が締結された。労組委員長は、かつて署名したなかで最善の協約と語っている。協約期間は20カ月、終了は2001年7月31日である。20カ月間の総賃金引き上げ率は4.7%となった。印刷技術工労働組合が気に入っているのは、協約に認められる連帯主義の姿勢である。4.7%の賃金引き上げは1カ月866クローネに相当し、その70%(1カ月にして596クローネ)が全組合員に保証され、残り30%は職場における交渉で配分される。

法律は、解雇の予告を6カ月以前に行うよう規定しているが、今回の協約で高齢印刷技術工への解雇予告は12カ月以前に行うこととなった。労働組合は、こうした高齢者の雇用保障の強化が図られたことにも満足している。

使用者側は労使交渉で、労働時間設定の弾力化を推し進めようとした。しかし、この点で労働組合と組合員が強い立場にある既存のシステムを変えることなく協約が締結された。労働時間を弾力的なものにするにはどうするか、そしてそのために使用者が負担しなければならない費用をいくらにするかについては、協約期間中に継続して検討される予定である。

おそらく、今後3年間におよぶ協定期間を持つ、影響力の大きい諸製造業の新労働協約が締結されてからわずか数カ月後にこの新聞発行業の協約が満期となる。これは、新聞発行業というもう一つの部門で、全国の印刷技術工を代表して労使交渉を行う自主賃金決定システムの導入に踏み切ったことを意味するであろう。

2000年6月 スウェーデンの記事一覧

関連情報