小売業ホワイトカラー、年3%賃上げで協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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約10万人の従業員が加盟する民間小売業労働組合の労働協約が締結された(協約期間は2000年4月から2001年3月31日まで)。スウェーデン経営者連盟(SAF)傘下の4団体とホワイトカラー労働組合である商業俸給労働者組合(HTF)、大卒技術者組合(CF)間で一部調停が必要だった。賃金引き上げは3.0~3.2%、つまり平均して1カ月600クローネ(1クローネ=11.58円)を少し超える程度になる。

この引き上げ額の大部分は支部毎に決定するものとされるが、個々の労働者に対しては1カ月200クローネの保証がある。職員労働組合連合(TCO)の傘下にあるHTFの要請で設けられた特別条項には、育児休暇中の従業員(母親と同様父親も)も賃上げの対象にしなければならないと明記されている。

小売業労働組合、使用者の両当事者は協約に満足しているとの見解を示した。しかし、小売業労働組合は、産業部門の労働組合や産業部門使用者同盟(ALMEGA)をはじめとする使用者団体の圧力により、わずか1年間の協約に署名するようにさせられたことを快く思っていない。この1年間の労働協約は、大規模な産業部門の労働組合の3年間の協約とほぼ同時に期限が切れる。大規模な産業部門では来年冬に再交渉が予定されていることから、小売業労働組合は産業部門での労使交渉の影響下におかれるのではないかと感じている。

ところで小売業界では、ブルーカラー労働組合Handelsと使用者が1998年の協約で、今後数年間の賃上げの一部を労働者の職業訓練の財源とする、いわゆる個人「職業能力」勘定に預け入れることに合意した。1999年秋の協約で、1999年度は賃金の0.52%、2000年度は賃金の0.25%の預け入れが合意され、現在、賃金の預け入れが行われている。職業訓練は、語学、セールス技術、消費者法など、さまざまな課題に関して実施される。

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