自動車業界における労使紛争の動き

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年6月

総選挙を前に労働団体の間で(バス会社労組、ソウル地下鉄公社労組、自動車メーカー労組、職場医療保険労組等)、それぞれの要求や主張を貫徹させるための団体行動が頻発していた。そのうち、バス会社労組と地下鉄公社労組によるストは総選挙の前に終結したものの、自動車業界や職場医療保険における労使紛争は構造調整(売却や統合など)が主な争点になっているだけに、その火種は総選挙後もくすぶり続けている。

自動車業界においては、まず大宇自動車労組は、外国企業への売却反対を掲げて1月10日に中労委に出した労働争議調停申請が棄却されたにもかかわらず、2月15日から20回以上の時限ストを繰り返した後、3月31日から全面ストに突入した。

次に、現代自動車労組は3月30日、「賃金交渉の暫定合意案に対する組合員の賛否投票は認められない」という使用者側の方針に反発して、争議行為に対する組合員の賛否投票(57.1%の賛成)を経て争議行為を決議し、4月3日、4日の2時間の時限ストを経て、4月6日から全面ストに突入することで、連帯闘争に合流した。

これに起亜自動車労組、双竜自動車労組も加わって、自動車メーカー4社の労組は民主労総傘下の全国金属産業労連主導の下で「大宇自動車の外国企業への売却反対」を掲げて4月6日から連帯闘争に突入したが、総選挙の前日である4月12日から相次いでストを中断した。

しかし、今回の連帯闘争を主導した民主労総側は、引き続き大宇自動車労組を中心に外国企業への売却反対闘争を続けると同時に、事業所別賃上げ及び労働協約改訂交渉を本格化し、5月末に対政府闘争の全国規模ゼネストに突入することにしており、自動車業界における労使紛争は長期化の気配を見せている。

自動車業界によると、今回のストにより、4月12日まで自動車メーカー4社合わせて7万4500台の生産に支障が出て、7650億ウオンの損失が発生したという。

財界は「大宇自動車の外国企業への売却は経営権に属する問題で、ストの対象ではない。したがって、今回の連帯闘争は明らかな不法行為である」との立場を堅持している。韓国経総は4月19日、今回の連帯闘争と関連して、「明らかな不法争議行為であるにもかかわらず、政府の対応が生ぬるいものであった」と政府に対して指摘するとともに、「連帯闘争を主導した者に対する厳正な処置」を求めた。また自動車メーカーに対しては「スト期間中の賃金に対してはノーワーク・ノーペイ原則の順守、労組と執行部に対しては損害賠償の請求と業務妨害の告訴・告発、就業規則に基づいた懲戒措置など」を講じるよう勧告した。

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