欧州委員会、欧州の労使関係に関する初の報告書を提出

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年6月

欧州委員会は3月8日、「欧州の労使関係」に関する初の報告書を採択した。同報告書は、労使関係の分野、とりわけ欧州の社会的対話、労働立法、賃金、労働時間および社会・雇用協定における最近の主要な進展を概観するものである。

その主な内容は次のとおりである。

  • EUの通貨同盟は、共通のマクロ経済上の目的に基づく労使協調の風潮を生みだすのに役立っている。労働紛争件数の減少がまさにこのことを例証する。
  • ソーシャル・パートナーは、産業および欧州経済に影響を及ぼす広範囲の構造上の変化に適応し、諸問題について大きな発言力を有している。加盟国レベルでは、新たな三者協議アプローチが11カ国で取り入れられ、雇用に関する一連の社会的協定が採択された。
  • 欧州連合では、賃金の伸びは過去20年にわたり適度であり、実質賃金の増加は生産性の上昇を下回りつづける傾向にあった。
  • 1998年、欧州連合の年間総労働時間は1660時間であった。労働時間と労働のパターンにおける革新的な変化は現在広範囲にわたり、より大きな弾力性の獲得だけではなく、労働生活、家庭生活および余暇の再構築につながっている。
  • 欧州レベルでの社会的対話はかなり広がっており、ソーシャル・パートナーは社会政策の形成に大きな発言力を有している。
  • 労働者への情報提供および労使協議は、欧州で広範囲にわたって行われている。

以上のことはすべて、労使関係に関与している者がますます欧州レベルを考慮していること、また共同体レベルにおける協力や経験の交換を促すためのイニシアチブが著しく増加していることを示している。

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