外国人労働者の新規雇用凍結措置を解除
アブドゥラー副首相は2000年2月18日、外国人労働者の新規雇用凍結措置を138職種を除いて解除すると発表した。決定は即日発効する。
副首相によると、経済回復により外国人労働者に対する需要が高まっており、外国人労働者に関する内閣審議会が外国人労働者の採用制限を緩和することを決定した。引き続き採用が禁止される138職種には、ミュージシャン、技術者、自動車整備工、ハウスキーパー、露天商、ウェイターなどが含まれる。
現在外国人労働者は最大7年までの就労しか認められていないが、副首相によると、これを1年延長する可能性もある。工場で働く外国人労働者のなかには熟練の域に達している者も多く、こうした労働者の代替要員を探すのに使用者が困難をきたすことを考慮したためである。ただしその場合、1年の延長を認める熟練労働者の数は、職場の外国人労働者数の3分の1以下としなければならない。
出入国管理局によると、現在マレーシア国内には69万7219人の外国人労働者がいる。インドネシア人が最も多く、51万2766人。以下、バングラデッシュ人12万9004人、フィリピン人3万510人、タイ人2885人、パキスタン人2380人などとなっている。
使用者は今回の凍結解除措置を歓迎しているが、欠員を補充するにあたってはマレーシア人を優先することを約束した。
マレーシア使用者連盟のサムスッディン事務局長は、経済回復により労働力需要が高まっているため、凍結解除はちょうどよいタイミングだと述べた。事務局長によると、労働力局の予測では、労働力不足は労働力人口850万人の2~3%、つまり少なくとも17万人が不足している。
1997年半ばに始まった経済危機以前には、マレーシア国内には100万人以上の合法外国人労働者がいたが、経済が急速に回復に向かっている現在の状況下で69万人しかいない。事務局長は、プランテーションを含む全産業で30万人の外国人労働者が必要になる可能性があると見ている。
またマレーシア製造業者連盟のロウ副会長は政府に対し、今後外国人労働者の採用を凍結する際には、突然発表しないよう要請した。「これは徐々にやって欲しい。使用者には調整する時間が必要だ」。
一方、マレーシア労働組合会議(MTUC)は、外国人労働者の秩序だった採用・本国送還に関して長期的な視野にたった政策を確立する必要性など、政府に対し以下の点の検討を求めた。
- 138職種で外国人労働者が雇用されないことをどう保証するのか。
- 就労許可証が発行されてから外国人労働者を禁止職種に配置する使用者にどう対拠するのか。
- すべての不法労働者を送還する政府の決意は固いのか、それとも、これら労働者を雇用し、あとから就労許可証を発行するという使用者の要求に屈するのか。
近年の外国人労働者に関する措置
- 1996年
- 建設、プランテーション、サービスの各部門で新規雇用を凍結する。就労許可証の更新のみを許可して、外国人労働者数を一定に保つのが狙い(7月)。
- 1997年
- 上記措置を全部門に拡大する(8月)。ただしメイドに関しては3週間後に撤回。
- 1998年
- 建設とサービスの両部門で就労許可証の更新を打ち切り、8月までに当該外国人労働者に人手不足が深刻なプランテーションないし輸出志向製造業へ移動するか国外退去するかを選択させる(1月)。同措置で8月までに9万5000人が帰国。
- 外国人雇用税(levy)を引き上げる。建設、製造/1200~1500リンギ(1米ドル=3.8リンギ)、サービス/720~1500リンギ、プランテーション、メイド/300~360リンギ
- 就労許可証の更新打ち切り措置をサービス部門で解除する(7月)。
- 外国人労働者の従業員積立基金(EPF)への加入を義務づける(8月)。
- 帰国猶予期間を11月まで延長する。同措置で11月までに18万人が帰国。
- 労働力不足が顕著な建設とプランテーションの両部門で、外国人労働者の新規雇用12万人を承認し(10月)、1999年1月に当該新規就労許可証を発行する。
- 1999年
- 上記措置を促進するため、外国人雇用税を引き下げる(1月)。建設、製造/1500~1200リンギ、サービス/1500~1200リンギ、プランテーション、メイド/360リンギ(据置)。
- 第3四半期に経済状況は大きく改善し、各産業で労働力不足が叫ばれ始める。
- 2000年
- 新規雇用凍結措置を138職種以外で解除する(2月)。
2000年5月 マレーシアの記事一覧
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- 金融再編後の解雇、2年間凍結
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