議長国ポルトガルの最優先課題

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

2000年前半期議長国ポルトガルの労働・社会分野の目玉は、3月23、24日に開催予定されている「雇用・経済改革・社会的結束」と銘打つリスボン臨時欧州理事会である。その主な目的は、欧州経済をよりダイナミックで競争力のある革新的な知識経済とし、より良い仕事をより多く創出し社会的結束を高めることを可能にする経済・社会政策の新たな長期的目標を採択することである。

このことは、人口統計学上の傾向と技術革新がもたらす難問を考慮に入れ、経済成長、競争力および雇用に関する欧州戦略を策定することを意味する。この長期的目標を念頭に置き、マクロ経済政策、構造政策および積極的雇用政策の調整が改善され、また、情報社会や社会的包含(social inclusion)に関する特定のイニシアチブが、この戦略の意義を補強することが求められている。

議長国ポルトガルは、リスボンでの臨時理事会後採択される目標と方法に関する幅広い議論を促すための文書を提出した。そして、その結果得られた結論は6月、欧州理事会で承認されることになっている。

欧州委員会は、リスボン欧州理事会に次の文書、つまり、(1)アムステルダム条約第127条に基づくコミュニケ、(2)情報社会における仕事に関するコミュニケ、(3)社会的包含に関するコミュニケを提出する予定である。電子ヨーロッパ(e-Europe)・イニシアチブに関する第4の文書はすでに欧州委員会で採択されている。

ポルトガルが議長国である間も、社会保護システムの現代化についての加盟国間の協力は継続するであろう。

立法の面では、議長国ポルトガルは、EU 労働時間指令の適用除外分野に関する包括提案だけではなく差別禁止に関する提案をも最優先課題と考えている。

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