グローバリゼーションと女性の雇用

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年4月

アジアの女性会議とチュラロンコン大学労使関係・開発センターとの共同で、「経済危機が雇用に与える影響-グループ戦略とアジアの女性労働者の雇用保障に向けて-」と題されたセミナーが、2000年1月23日開催された。このセミナーにはタイ、マレーシア、インドネシア、韓国の代表が集まり、各国の女性労働者の現状を報告し、今後の展望を議論しあった。

タイにおいては、経済危機で最も大きな影響を受けた産業は、従業員の多くが女性である繊維・縫製産業であった。そして、8割以上の従業員が解雇されたとされている。マレーシアの代表者は、政府の政策立案者の中には、グローバリゼーションが開発政策の成功を導き、雇用の促進と賃金の上昇をもたらすと信じている者もいるが、現実はまったく異なっているとし、女性の労働力が多国籍企業を通じたグローバリゼーションの道具となっていることを指摘した。多国籍企業が他国に進出する際には、若い女性が優先して雇用されている。彼女らが数年後に職場の労働環境の悪さから健康問題に苦しめられ、5~10年後には大量の解雇に直面するケースが非常に多いという。

マレーシアでは、賃金の安い海外(主にインドネシア)からの出稼ぎ労働者が増加することによって、マレーシア人の就業が困難になっている。また、出稼ぎ労働者の労働時間が長時間化するに伴い、マレーシア人の平均就業時間も1日当り8時間から9~12時間へと伸びているという事実が明らかにされた。

韓国の代表者は、グローバリゼーションによって韓国女性の解雇が進んでいること、また女性が労働力として見なされていない問題などを発表した。さらに、労働環境が悪化し、低賃金で長時間の労働に従事していることも明らかにした。

インドネシアでは、労働者の声を無視して、IMFの政策に依存しすぎているといった問題点が挙げられていた。

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