総選挙を前に勢いづく国会議員落選運動をめぐる労使の動き
4月13日の総選挙を前に、市民団体によって結成された「2000年総選挙市民連帯」が国会議員落選運動を展開するのを機に労使を含めた各利益団体の間でも政治活動の動きが急速に広がっている。
まず、韓国労総は、1999年12月から「労組専従者の賃金支給禁止条項の改正」をめぐっての対政府闘争で政治的攻勢をかけていたこともあって、早くも2000年1月7日に中央政治委員会(執行部と27の産別労組委員長出席)を開いて、本格的な政治活動に入ることを宣言した。
具体的な活動としては、まず組合員を対象に選挙人名簿(100万人目標)を作成する。第二に、総選挙で当選確率が高い候補を選んで労働界寄りかどうかを基準に当選支援・落選運動を展開する。第三に、労働界候補の当選と政策開発のために10億ウオンの政治資金の募金活動に入る。その他に、政党との提携や政策連合を推進することなどが盛り込まれている。
2月1日に開かれた韓国労総の定例代議員大会には、与党民主党の選挙対策委員長や野党ハンナラ党の総裁などが揃って出席したこともあって、政策連合の行方に注目が集まっている。
民主労総は、「総選挙市民連帯」が民主労総との連帯運動を拒否したため、独自の落選運動(労働者を弾圧した前歴がある事業主や労働界の要求を拒否した候補などのリスト公表)を展開することにしているようである。
これに対して財界は、2月14日に経済5団体会長団会議を開いて、特定候補に対する落選運動のような本格的な政治活動は行わず、「議員活動評価委員会(財界と学界から20人)」を設置し、各候補の「議員活動評価」に基づいて政治献金に差をつけるような活動にとどめることで合意した。財界としては、市民団体や労働界のように反対・支持の候補リストを公表しない代わり、各候補の政治路線に関する評価資料に基づいて財界寄りの候補に政治献金を集中させることにより、当落に影響を及ぼす道を選んだようである。
ちなみに、2月8日の公職選挙法改正で、韓国経総が求めていた経済団体の政治活動は認められ、選挙運動期間(3月28日~4月12日)以前の落選運動は禁止されることとなった。これにより、市民団体や労働界の落選運動は不法行為に当たってしまうが、2月中旬現在「総選挙市民連帯」は当初の不服従方針を撤回し、合法的な運動を展開すると宣言したのに対して、労働界は不服従方針を貫く構えのようである。
2000年4月 韓国の記事一覧
- 政府の雇用対策 ―若年層の高失業率・非正規労働者の急増・所得格差の拡大
- 総選挙を前に勢いづく国会議員落選運動をめぐる労使の動き
関連情報
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:掲載年月からさがす > 2000年 > 4月
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:国別にさがす > 韓国の記事一覧
- 海外労働情報 > 国別基礎情報 > 韓国
- 海外労働情報 > 諸外国に関する報告書:国別にさがす > 韓国
- 海外労働情報 > 海外リンク:国別にさがす > 韓国