交代要員の雇用保障の改善

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

労働市場の伸縮性を高めるよう国際組織から勧告を受け、国内の使用者からも圧力をかけられているにもかかわらず、1996年にスウェーデンの法律制定者は、雇用保障を改善するために、臨時従業員の雇用に関する使用者の権利を縮小することを決定した。しかし使用者は、この新しい法律、すなわち2000年1月1日に実施される雇用保障法(LAS)修正に備えているため、3年の猶予期間を与えられた。新法によれば、過去5年間に合計3年間にわたって交代要員として働いた従業員は、2000年1月1日から正社員としなければならない。ただし新たな雇用保障法修正は、当該職場の特定職務での正社員としての雇用を保障するのではなく、特定使用者のもとでの雇用だけを保障している。交代要員制度は、地方政府の医療サービス部門で非常に一般的であり、この部門では多くの准看護婦や付添夫が、長期雇用の正社員の身分を与えられることになる。地方政府では4万人分の新規の正社員としての雇用が生まれると言われている。だが、総雇用者数は統計上は大量の臨時・パートタイム労働も含んでいるため、この改革によって総雇用者数がそれほど増えることはないだろう。

1996年に議会が最終的に雇用保障法を変更する前から、複数の公共部門労働組合が同法の修正を促していた。地方自治体労働者労働組合(Kommunal)の組合員の中には、最長15年にわたって交代要員として働いてきた者もいる。多くの場合その理由は、当該職務ごとに規定された論理的能力を正式に示すことができないためである。また、最初にその仕事に就いていた者が上級教育を受けるために長期休暇を取っているという理由で、交代期間が長期に及んでいる場合もある。雇用保障法は、数年間の上級教育を修了したあとに元の使用者の職場に復帰する権利を非常に寛大に保障している。

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