雇用構造の変化と政府の2000年失業対策

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

統計庁によると、1999年11月の失業者数は10月より5万人減って97万1000人、失業率は0.2%ポイント下がって4.4%をそれぞれ記録した。失業者数はピークに達していた1999年2月(178万人)に比べると、約81万人も減っており、雇用情勢の改善が著しいようにみえるが、完全雇用状態にあった1997年10月(45万人)に比べると、その数は依然として倍以上多い。それに、就職活動に失敗し、求職活動を断念した者が19万8000人に上っており、実際の失業者数は統計上の数よりかなり多いと推定されており、雇用創出の必要性は依然として高い。

特に1年以上の長期失業者数は11月現在17万人で全体の17.5%を占めている。この長期失業者は低所得層に集中しており、不安定な雇用形態と失業状態を繰り返している者が多いとみられている。

雇用形態別就業者数の推移をみると、常用労働者は0.6%減ったのに対して、1カ月未満の日雇い労働者と1年未満の臨時労働者はそれぞれ29.3%、9.5%増えるなど、不安定な雇用形態の就業者数は依然として増加傾向にある。

その一方で、中小企業の人手不足状況は深刻さを増している。中小企業庁が製造業の中小企業1010社を対象に調査したところによると、1999年下半期の人手不足率は5.2%で、1998年同期(1.9%)より3.3%、1999年上半期(4.0%)よりも1.2%ポイント上昇している。中小企業庁の宋人材支援課長は、「創業ブームの影響で3K 職種に加えて研究開発職の人材も不足している」と述べている。

政府は1月11日、金大中大統領主催の閣僚会議を開いて、次のような内容を盛り込んだ「2000年の総合失業対策」を確定した。第一に、政府は2000年の経済成長率を6%と仮定した場合、年平均失業率は4.5%で失業者数は99万人余りに上ると予測している。そのうえ第1四半期には季節要因の影響で失業率が5.1%まで上昇するとみて、失業対策事業費1兆1000億ウオンのうち65%(7100億ウオン)を第1四半期に集中的に投入し、1日平均14万人を同事業に回す。その他、低所得層の長期失業者には失業対策事業への優先的な参加を認め、時間制勤務形態も導入することにしている。

第二に、中小ベンチャー企業の創業を支援するために政府と民間共同で1兆ウオン規模のベンチャーファンドを設けて、ベンチャー企業数を1999年の5000社弱から1万社に増やす計画をうち立てている。

第三に、高卒・大卒者のインターン社員制度に650億ウオンを投入し、2万2000人の新規雇用を創り出すと共に、インターン社員に対して労災保険を適用し、正社員への採用率を70%までに引き上げるよう努めることにしている。

第四に、失業状態の長期化を防ぐために、長期失業者を対象にした雇用促進奨励金の支援期間を現行6カ月から12カ月に拡大すると共に、長期失業者が創業する際には1人当り最高5000万ウオンの店舗賃貸資金を貸しつける。

ちなみに、労働部によると、1999年の失業対策予算9兆2400億ウオンのうち、7兆3058億ウオン(79.1%)しか執行されず、その事業の対象になった失業者数も57万3000人で目標人員59万4000人を下回っている。

この背景には、失業者数が予想以上に急速に減少したため、予算規模が相対的に大きい、次のような事業に対する需要が減ってきたことが大きく影響している。例えば失業対策事業は2兆5924億ウオンのうち2兆1895億ウオン、失業給付は1兆5012億ウオンのうち9380億ウオン、失業者向け貸付は1兆1382億ウオンのうち6083億ウオンしか執行されていない。その他に事業別対象者数をみると、失業対策事業は153万人で最も多く、ついでに既存の生活保護117万人、雇用安定事業66万人、失業給付46万人、失業者の職業訓練・就業斡旋36万人などの順となっており、緊急避難的な失業対策事業や生活保護などに偏っていたことがうかがえる。

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