雇用情勢の改善と大企業からベンチャー企業への人材流出

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

統計庁の「1999年10月の雇用動向」によると、失業者数は102万1000人で前月より4万8000人減り、失業率は4.6%で0.2ポイント下がった。就業者数は先月より15万5000人が増え、2115万5000人に達した。性別には女性の増加幅(9万4000人、1.1%)が男性(6万1000人、0.5%)を上回っている。

そして中央雇用情報管理所によると、10月現在求人企業数は増えているのに求職者数は減っている。新規の求人募集数は10万4378人で先月対比で13.5%増えたのに対して、新規の求職者数は20万324人で37.8%減った。求人倍率は先月より0.24ポイント上昇し、0.52倍を記録した。職種別求人状況をみると、単純労務職(229.3%増)と事務職(24.7%)の増加幅が大きい。業種別には住宅部門を中心に回復基調にある建設業(237.4%)の他に、不動産賃貸・サービス業(176.5%)、製造業(143.3%)などの増加傾向が著しい。

景気回復と共に、情報通信やインターネット分野のベンチャー企業を中心に成長性が見込まれ、株価が急騰しているため、ストックオプションをもらった社員の間で高額の報酬を手にするケースが増えていることもあって、大企業からベンチャー企業に転職するか、創業する動きが目立っている。

これに対して、三星電子、LG 電子、LG 情報通信、現代電子などの大企業は中堅社員の大量流出を防ぐために、思い切ったインセンティブ制度やストックオプションなど柔軟な報酬制度の導入に取りかかっている。例えば、現代電子は12月14日、「1999年に1500人の役職員に対して800万株(発行株式の1.6%)のストックオプションを与えると共に、2000年からその対象を拡大していくこと」を明らかにした。従業員2万人以上の大手メーカーで全社員を対象にストックオプションの報酬制度を導入したのは現代電子が初めてである。ストックオプションの対象者は研究職では課長代理以上、技術職と一般管理職では次長以上であり、一人当り2000株から5000株が割り振られるという。

1999年末まで7大都市における創業件数は3万件を超えると予想されるほど、大都市はいま創業ブームに沸いている。毎日経済新聞社が11月にソウル地域で新設された778社を分析したところによると、社長は大企業の中堅社員に当たる30代が全体の41.9%(326社)で最も多く、次いで40代(31.9%)、50代(13.5%)、20代(6.8%)の順となっている。女性は全体の11.3%(88社)を占めており、年齢別には30代、40代、20代の順となっている。

30代が創業した企業は情報通信部門(19.3%)、サービス部門(18.4%)、流通部門(17.1%)などに多いのに対して、40代と50代の場合は、サービス部門(21.7%、28.5%)、建設部門、流通部門などに多い。つまり情報通信部門で30代の創業が目立っているのである。

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