ブリティッシュ・テレコムで初のストライキ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年2月

ブリティッシュ・テレコミュニケーションズ(BT)のコール・センター従業員は1999年11月22日、同センターにおける労働条件に抗議して24時間ストライキを全国37カ所で実施した。

同従業員を代表する通信従業員組合(CWU)によれば、BTは従業員にトイレへ行く間隔を指定するなどの厳しいモニタリングを実施したり、顧客への対応時間を最大4分40秒に設定し、これを超えた従業員には懲戒を加えるなど「過酷な労働条件」(組合幹部)を課してきた。こうした「独断的な」やり方に加え、派遣社員を多数かつ長期的に採用してきたことも従業員にはストレスになっていたと組合幹部はBTを非難している。

BTは全国のコール・センターで約8000人を雇用し、うち組合員は約4000人。ストライキのための投票を行ったのはその約半数であったが(賛成1507票、反対339票)、組合によれば、ピケラインを越えることを拒否した組合員は全体の95%にのぼった。2000年初頭にかけて今回と同様の24時間ストライキが断続的に実施されるものと見られている。

一方、BTのスポークスマンは、この3カ月の間従業員の懸念に応えようと努力してきただけに、今回の事態を遺憾だとしているが、今後も組合に話し合いを求めていくと述べている。また派遣従業員を過度に採用しているとの組合の主張に対しては、仕事の増大に合わせて1800人を新規採用してきたこと、派遣従業員を正規従業員に転換してきたこと、パートタイマーをフルタイム契約に変えてきたことなどをあげて反論している。今回の24時間ストの損害については、「最小限度」に収まったとしている。

BTの今回の争議行為が注目されている背景には、インターネットの普及などによりコール・センター部門が急速に成長していることがある。同部門の雇用者数は1999年末までに教員と農業従事者を合わせた数を上回る39万人に、さらに、2002年までには48万人に達すると予測されており、同労働市場は現在売り手市場となっている。今回のBTの騒動をきっかけに、同部門全体に高賃金のみならず、労働条件の改善を求める機運が生まれる可能性もある。

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