IT産業の人件費が上昇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

情報技術産業(IT産業)の企業は、単なる専門的なサービスの供給者という状況を脱すると同時に、この部門で上昇する賃金は、インドの企業が伝統的に持っていた低開発コストの利点を侵す恐れがある。

エコノミックタイムズのIT産業上位30社の調査によると、人件費は過去4年間に42%上昇した。これは売り上げの27%、純利益の37%の増加よりかなり高い。

他方、明るい見通しもある。一見、人件費の増加の傾向は、不安定な要因の一つだったが、付加価値サービスへの移行は、この産業において利益の増加を導いた。

利益の増加率は、売上げの増加率を越えており、これは付加価値の増加に加え、経営効率が改良されたことを示している。また、販売利益における明らかな改善は、価値連鎖の産業的動向を表している。

メッタ全国ソフトウェアー配給企業協会(NASSCOM)会長は、「人件費は上昇している。しかし、生産性は殆ど同じか、それ以上のペースで上昇している。心配する事はない」と述べた。

これは、エコノミックタイムズの調査結果と一致しており、人件費は上昇しているが利益も上昇しているため競争の有利さはまだ保持されている。人件費の上昇は、インドの企業が純利益を押し上げていると同時に、重要な知的資源の重要性が増大していることを明示している。

しかしながら、産業の高付加価値への移行は、思わぬ危険を伴うと同紙は指摘し、高度な事業水準への良好な移行が不確かな時期の人件費の増加を危惧している。

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