第2四半期失業率、3.3%まで改善

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

労働力省(MOM)が1999年9月13日に発表した第2四半期に関する『労働市場動向』によれば、失業率は第1四半期の3.9%から3.3%に改善した。ただ、企業のリストラが続いているため今後も解雇が続くことが予想され、特に電子産業でその可能性が高いとしている(次項「電子産業では人員削減が続く」を参照)。

第2四半期の解雇者数は3350人で、第1四半期の3402人を下回った。これで1999年上半期の総解雇者数は6752人となり、1998年下半期の1万4646人と比較してかなり改善した。

MOMによると、第2四半期の解雇の48%は企業の再編やリストラによるものだが、整理された労働者は現在創出されている雇用に対応する技能を身につけなければ構造的失業者になる可能性があると指摘している。

欠員数については、第1四半期の1万6774人から1万9299人へ増加した。月平均求人率は第1四半期の2.1%から2.7%に上昇している。経済危機前には3%を上回っていたが、1998年通年では2.3%、同年10~12月に2%まで落ち込んでいた。求人が最も活発だった産業はホテル・レストラン(4.3%)と不動産・対事業サービス(3.8%)であった。

また、月平均退職率によって測定した労働力移動率も同様に上昇し、第2四半期に2.3%に達している。第1四半期は2%、1998年は2.1%であった。

第3四半期の見通しについてMOMは、製造業は改善が見込まれるが、ディスクドライブ産業は激しい価格・コスト圧力に直面し、リストラを断行し続けると予測している。またサービス部門は、テレコミュニケーション市場の自由化、情報技術サービスに対する需要増大、消費者マインドの改善、世紀末の祝い事などにより、やはり改善が見込まれるという。ただ建設業だけは悪化が見込まれている。第2四半期に雇用がマイナス(3299人)を記録した唯一の部門である。

2000年は解雇減少、賃金上昇

2000年の解雇件数は急減し、同時に賃金は上昇するとの予想が発表された。コンサルタント会社、ピーター・リー & アソシエイツが全国賃金審議会(NWC)の経済回復措置への企業の対応に関して調査したところ、調査対象企業のほぼ全てが基本給の平均1.6カ月分のボーナスを支給すると回答しており、早ければ1999年中にも同措置のプラスの効果が表れると見込んでいる。

まず解雇に関しては、1999年は企業の19%が従業員を解雇するが、2000年はそれが3%に減少する。1999年にこれまでに解雇を実施した企業を国籍別で見ると、欧州企業が最高で全体の33%、以下、シンガポール企業(13%)、アメリカ企業(12%)、日本企業(11%)と続く。

<>賃金に関しては、一部の企業は NWC が勧告した額を上回る タ金を支給している。これらの企業は自動昇給(built-in wage increases)を実施している上に、年央ボーナスも支給した。1999年に入ってから9月までの賃上げ率は平均1.9%、2000年には3.9%に達する見込みだ。

また約1割の企業が、1月に20%から10%へ引き下げられた中央積立基金(CPF)の使用者側拠出率の再引き上げを実施している。引き上げ幅は2.5%から10%までの間で、平均では7%。

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