賃金交渉の進捗状況と労使紛争の動き

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

労働部がまとめた「1999年7月末の賃金交渉妥結状況」によると、従業員100人以上の事業所5097カ所のうち、3083カ所(60.5%)で賃金交渉が妥結した。その内訳をみると、景気回復に伴い、雇用情勢や支払い能力が改善されていることもあって1998年の賃金削減分に対する労働者側の補填要求を受け入れ、賃上げを決めた事業所は1443カ所(46.8%)で1998年同期(14.4%)より3倍以上増えている。その反面、賃金凍結と賃金削減に合意した事業所はそれぞれ1511カ所(49.0%)、129カ所(4.2%)で1998年同期(67.7%、17.9%)に比べて大きく減っている。

賃上げ率は3月(0.1%)にプラスに転じてから5月以降は2%台に上っていることもあって、1月から7月までの賃上げ率は1.7%を記録した。

業種別にみると、稼働率の回復が著しい製造業は2.5%を記録したのに対して、構造改革の一環として人件費削減策が講じられている電気・ガス・水道等の公共部門と金融・保険部門はそれぞれマイナス2.3%、マイナス0.7%にとどまっている。企業規模別には100~299人の事業所の賃上げ率が2.3%で最も高く、1000~4999人の事業所が0.8%で最も低い。

なお、労使紛争件数の増加も目立っている。1999年上半期の労使紛争件数は106件で1998年同期の42件を大幅に上回っている。そのうち賃上げをめぐる労使紛争も17件で1998年同期(8件)より倍以上増えている。

例えば、現代自動車では8月19日から11回にわたって労使交渉が行われたが、平行線のままであったため、労組側は賃上げ要求案を貫徹させるために10月7日に組合員投票(90.6%の賛成)を経て11日から時限付きストに突入した。労組側は基本給8%引き上げ、ボーナス8カ月分、成果給1.5カ月分等の賃上げの他に、社外取締役1人の推薦、労働時間の短縮、整理解雇に対する合意などを要求した。これに対して使用者側は基本給3.8%引き上げ、ボーナススの凍結、成果給1カ月分を固守した。

注) 現代自動車における労使紛争は11月5日、労使間の暫定的合意案が組合員投票で可決されたのをもって幕を閉じた。

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