人口が10億人を超える

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

国連の人口統計専門家によると、インドは世界のどの国よりも増加人口数が多く、1999年8月15日の独立記念日の頃、10億人を突破する可能性が大きいとしており、ナラヤナン大統領は、8月14日国民に対し、この「人口爆発」に歯止めをかけるための緊急措置の必要性を訴えた。

植民地から独立した52年前、インドの人口は3億4500万人で、その時点から3倍になった。

世界第1位の人口大国は中国であるが、中国はインドに比べ、面積が3倍あり1980年に10億人を超えた後、今日の人口は12億7000万人で年増加率が僅かに0.9%であるガ、インドでは人口が年1.6%増加しているため中国を追い抜くことが予想される。インド人は、中国の低増加率について、民主的なインドではとても採用できない堕胎等の弾圧政策により達成できたと批判している。

今や、インドと中国で世界人口の3分の1以上になる。

人口増加により悪化する問題にも関わらず、インドは、半世紀を経たないうちに平均寿命を39歳から63歳に伸ばし、合計特殊出生率(注1)を6から3.1に減少させた。

世銀の報告によると、インドは識字率が低く文字の読めない人が5億人。基本的な食料を購入するのに必要な1日1ドル(43ルピー1ルピー=2.39円)に相当する収入を得ることができない、貧困層が3億2000万人以上いる。貧困者の割合は、着実に低下しているが、実際に貧困状態にある人口は増加し続いているとしている。1997年のインドの貧困についての報告によると、「貧困は、インドに重荷となっている。特に、人口の4分の3が居住する農村では、全体の77%の貧困状態にある」としている。最新の報告でも著しい改善は望めない。

開発の専門家と人口学者は、インドは人口の急上昇を止めることに失敗したため、教育、健康、農業の分野で増加する人口に圧倒される危険性があると指摘している。

ワシントンの世界調査研究所のブラウン理事長はインタビューで、人口増加は、インドの全ての資源を圧迫しているとし、特に水資源の不足を指摘し、「政府は若年層を教育し、仕事を与え、環境破壊に対処しようとしているが適切に対応できない」と述べている。

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