イタリア・ルクセンブルクを除き、EU指令の国内法化進む

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

社会政策分野では、現在施行されているEU指令の数は55である。加盟国がそれらの指令を遵守(国内法化)している平均的割合は1997年7月の90.5%であったが、1999年7月には95.8%にまで増加した。55指令のうち、44指令は全ての加盟国で国内法化されている。過去2年間、スペイン、ドイツ、ベルギーおよびポルトガルは、国内法化の遅れをかなり取り戻した。6加盟国(デンマーク、ドイツ、スペイン、フィンランド、スウェーデンとイギリス)は100%の国内法化という優秀な成績を収め、またその他3加盟国は(ベルギー、オランダとポルトガル)は98.1%である。他方、イタリアとルクセンブルクは、指令の国内法化の割合がかなり低く(83.6%)、欧州司法裁判所でそれぞれ4~5件の訴訟に直面している。

雇用・社会問題担当委員フリン氏は、「とりわけスペイン、ドイツおよびベルギーの取組により、EU指令の国内法化が大きく進んだ。イタリアとルクセンブルクの国内法化の遅れに憂慮している。遅れを取り戻すための努力をするよう両国を説得するつもりである」と語った。

欧州委員会は今後も、全加盟国が全てのEU指令の国内法化を行うよう求め続けるであろう。実際に、欧州委員会はつい最近、国内法化の遅れているイタリアとオーストリアに対して、EU条約226条に基づき欧州司法裁判所に提訴する決定を行った。その結果、イタリアは新たに欧州司法裁判所での2件の訴訟に、オーストリアは1件の訴訟に臨まなければならなくなる。

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