欧州司法裁判所、付加年金に関する重要な判決を下す

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

1999年9月21日、欧州司法裁判所は、オランダの裁判所から付託された3件の重要な事件において、EU競争法(注1)が1産業部門全体にわたる年金計画に適用されうるかどうかについて判決を下した。

当該事件では、EU競争法の社会的目的に照らすと、特定の産業部門における年金基金への強制加入が同部門のソーシャル・パートナーの締結した労働協約を通じて取り決められた場合、このような国内制度がEU競争法に違反するかどうかについての問題が提起された。そして、欧州司法裁判所は、EU競争法と、労使交渉により締結された労働協約との関係について判断するよう求められた。

同裁判所は、次のような判断を下した。

特定の産業部門の労使が労働協約で同部門全体にかかわる年金基金を設け、同部門に属するすべての者を同基金に強制的に加入させることは、EU競争法に違反しない。また、労使双方の要請により、加盟国が、特定の産業部門の年金基金への加入を、同部門に属する全事業所に強制することも、何らEU競争法違反にあたらない。

当該判決は、次のような点について重大な意義を有している。つまり、欧州司法裁判所が、ことさらに年金基金の社会的目的に言及し、それがEU競争法の経済的目的と法的に同価値であることを明確に認めた点。また、同裁判所は、高水準の雇用および社会保障を促進することがEUの任務であるとし、ソーシャル・パートナーによる自治の重要性も認めた点である。

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