大宇グループの主要系列企業にワークアウト実施

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年11月

大宇グループは7月19日に10兆ウオンの追加担保と抜本的な構造改革案を条件に4兆ウオンの新規融資を受けたにもかかわらず、資金繰り難は改善されず、金融機関の与信中断で未決済手形が3兆5000億ウオンに達するなど事実上の債務不履行の状態に陥った。そのため、政府は8月26日に大宇グループの速やかな処理のため、「6行の主要債権銀行が主要系列企業12社を分担し、責任をもってワークアウトを実施する」方針を決めた。8月30日にはグループの早期解体に向けて系列企業間の資金支援や内部取引を禁止する措置もとられた。

その後、保証債の利子支給をめぐって銀行と投資信託会社の話し合いが難航し、ワークアウトのための緊急支援策がなかなかまとまらなかった。その影響で手形の割引がままならず資金難に陥っていた下請部品メーカーの連鎖倒産を懸念する声が日増しに高まった。政府は9月6日、緊急対策として「債権団がワークアウトの過程で合意した主要系列企業と下請部品メーカーに対する新規融資に対しては「与信限度を定めた規程」に反することがあっても免債の措置をとる」方針を明らかにすると共に、緊急融資の条件として大宇重工業、大宇電子、大宇通信など3社に経営管理団を派遣し_A事実上の銀行管理体制におくよう指示するに至った。

今回ワークアウトの対象になった主要系列企業12社の負債総額は59兆3000億ウオンに達している。8月末現在ワークアウトの対象になっている全国の企業80社の負債総額は37兆8000億ウオンぐらいなので、大宇グループの負債総額がいかに多いかが分かる。そのうえ、負債総額の半分弱(28兆ウオン)は社債や CP などによって占められており、負債の規模のみでなく、負債の複雑な構造も銀行主導のワークアウトをさらにこじらせる要因になっているようである。金融機関別にみると、銀行22兆7000億ウオン、投資信託会社21兆1000億ウオン、保険会社8兆4000億ウオン、総合金融会社1兆4000億ウオンなどの順になっている。

「債券金融機関団協議会」での議決権は債権額に比例するため、投資信託会社側の同意がなければ、何も決まらないという構図になっている。保証債の利子支給をめぐる銀行側と投資信託会社側の利害対立や駆け引きはこのような構図によるところが大きい。その他、系列企業間の債権債務の整理や海外事業所の売却にいたってはその実態調査にかなりの時間がかかるとみられている。

そういうなかで、大宇自動車のワークアウトを担当する債権金融機関団協議会は9月15日、大宇自動車に対して2億7600万ドル(3312億ウオン)の新規融資を行うことを決めた。これにより、ワークアウト対象の系列企業12社のうち、緊急支援の必要がないと見なされた3社を除く、8社全てに対して緊急融資案(9630億ウオン)が決まり、各系列企業別債権団協議会の構成作業は完了した。

その一方で、李金融監督委員長は9月2日、「5大財閥の構造改革作業を年内に完了させるため、第2段階のワークアウト作業として第4四半期からは不良債権の出資転換と資産管理会社(CRV・出資転換により債権団が確保した株式や企業を管理する機構)を積極的に活用すると共に、ワークアウト作業が遅れる企業に対しては経営権のはく奪や清算などにただちに入る」方針を明らかにした。また「大宇グループはもちろん現代グループも負債比率200%の目標を達成するのが難しくなれば、債権の出資転換が不可避である」との立場も表明した。

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