女性臨時雇用者急増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

スウェーデン統計局(SCB)によると、不安定な臨時雇用が増加する傾向が見られ、特に女性の間で急増していると警告している。SCB の報告書によれば、臨時雇用者は1990年から1997年までの間に10万人増加したが、1998年に4万5000人増えている。雇用者総数360万人のうち55万人が何らかの形式による臨時雇用者だった。1998年に、代替要員として雇用されたり、必要時にのみ雇用されていたり、あるいは臨時の事業に携わる仕事に従事した女性は32万5000人だった。女性のブルーカラー労働者の場合状況は最悪である。というのは、LOに加盟する25歳から29歳までの女性労働者の30%余りは臨時雇用者で、10年前の2倍になっているからである。臨時雇用の利用頻度は、ホテル・レストラン業、地方自治体、建設業界で最も高い。

臨時雇用の増加の影響の1つは、低収入の女性ブルーカラー労働者が生活費を十分に賄いきれない短時間労働に就かざるを得なくなっていることで、もう1つは高収入の女性ホワイトカラー労働者の超過勤務が増加していることである。不本意な短時間労働は、LOに加盟する多くの労働組合の組合員にとって大問題になりつつある。なぜなら臨時雇用の労働者はオン・ザ・ジョブ・トレーニングを全く受けられないし、失業保険やその他の社会保険制度の適用外におかれることが多い。病院やその他の介護職務に従事する多くの女性は、敢えて休暇を採ろうともせずに、臨時雇用の空きを埋める呼び出しに備え自宅待機している状態である。

LOによれば、不本意な臨時雇用の増加に主な理由が2つあるとしている。第1は、雇用保障法が次第に時代にそぐわなくなってきている状況があり、今では事業主にとって有利な様々な臨時雇用形態があるからだという点である。第2の説明では、臨時雇用の増加傾向が当然、失業率の高さによるものであり、高失業率が、労働組合の労働市場に対する影響力を制約し、経営側に有利な「柔軟な雇用形態」を保証している。

地方自治体労働者労働組合SKTFの委員長が委員長となっている国家委員会、労働生活代表団は、臨時雇用増加問題の解決策として、臨時雇用者の給与税を増税して、必要な技能訓練にあて、さらに同財源で疾病手当全額、失業手当、育児のための親(男女どちらでも)保険を保証、通常の年金受給開始年齢までの雇用を確保すべきであると提案している。長期雇用の職に就いたことが全くない55歳以上の女性を臨時雇用の仕事に募集することは現在ほとんどない。

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