男女の賃金格差は依然25%

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

雇用省のためにドミニク・ムール氏(パリ第㍻大学)とソフィー・ポンシュー氏(雇用省調査統計局)が男女の賃金格差に関する調査を実施していたが、1999年8月11日にその結果が発表された。この結果によれば、賃金に関する限り、男女平等の闘いはまだこれからである。

調査が終了した1998年3月時点で、女性は労働者全体のほぼ半数を構成していたが、平均以下の賃金を受け取っていた労働者の85%を占める一方、平均以上の賃金を受け取っていた労働者の27%を構成するにすぎなかった。フルタイム労働者だけを対象にした場合、女性は労働者全体の40%以上を構成していたが、低賃金労働者の57%を占める一方、高賃金労働者の場合だと24%しかいなかった。

この調査では、労働市場における性的「不平等の2つの次元」を考慮している。1つは、「大半が女性」のパートタイム労働が「女性を低賃金へ過度に集中」させることになっていることであり、いま1つは、高賃金ポストにフルタイム女性労働者の割合が少ないことである。この2つの現象が合わさった結果、女性の賃金は男性と比較して25%低くなっているという。1998年3月時点で、フルタイムの仕事に就いているのは労働年齢にある女性の45%にすぎず(男性は77%)、パートタイムの仕事をしている割合は31.7%に達している(同5.2%)。また、パートタイムで働いている女性の40%はもっと長い時間働きたいと望んでいる。フルタイムで働いている場合でも、女性 フ管理職に占める割合は依然として低い水準にある。

結婚や家族と関係するさまざまなファクターによってこの不均衡は説明される。子供を持つ夫婦の場合、フルタイムの職に就く機会は女性の方に少なくなる。しかし、女性が受けている賃金差別は彼女たちが受けているもっと大きなハンディキャップに基づいている。女性は平均すると男性よりも学歴は高いが、失業の危険は大きくなる。調査では、「バカロレア以上の資格を持つ女性の割合は44%だが、男性の場合は30%にすぎない」と強調している。ところが、「すべての学歴水準で、男性が女性よりも高い賃金を受け取っている」のだ。

女性が男性と異なる職種を占めているとしても、この違いを統計的に中和した場合、なお14.8%という賃金格差が存在する。フルタイム労働者だけを比較した場合、その割合は12.4%である。また、女性は雇用へのアクセスにも大きなハンディキャップを負っており、12.8%が不完全雇用の状態にある(男性は3.4%)。1998年3月時点で、失業率は男性の11%に対し、女性は14%の水準にあった。調査では、「他の特性(年齢、資格など)とは別に、女性であるという事実が失業の可能性を大幅に高めている」と確認されている。

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