欧州委員会、不適切な国内法整備でイタリアおよびドイツを提訴

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年10月

欧州委員会は、EC 条約226条に基づき、労働安全衛生関連の指令を適切に国内法化していないことを理由にイタリアとドイツを欧州司法裁判所に提訴した。

イタリアの場合、労働者の安全衛生の向上を目的とする措置の実施に関する EU 指令(89/391/EEC)の国内法整備について、その適切な実施を求める意見書が1998年10月に送付されたが、それに対する回答が全くなかった。不適切とされた点は、(1)職場における安全衛生への危険を評価する義務を使用者に課していないこと、(2)企業内部の調査・評価能力が不十分であるとき、外部の協力を得るかどうかについての選択権を使用者に認めたこと、(3)安全衛生予防・保護活動に任命される者の必要とされる能力と適性について、明確な規定を置いていないことである。

他方、ドイツの場合、職場における危険の評価義務を使用者に課すにあたって段階的なアプローチをとったことについて、欧州委員会は EU 指令の不適切な国内法化であるとみなしている。さらに、従業員数100人以下の使用者について評価結果に関する文書の保管を免除したことは、EU 指令に反するとされている。

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