67歳まで働こう

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

政府は6月末までに新たな退職制度を始めとした雇用保障法の変更点を提示した覚書を提出する予定である。この覚書には労働者の雇用を67歳まで継続させるという提案が盛り込まれる予定である。現在、使用者は労働者が雇用の継続を望もうとまた継続して働くことができようとも、65歳になれば雇用の打ち切りを強いることができる。

各政党が新年金制度に関して合意した5年前に、67歳まで働くことを認めるべきか60歳で労働市場を退出すべきかについて、詳細な詰めの作業を労働組合と経営団体の中央交渉に任せることにも合意していた。しかし労働市場に関係のある各当事者は、柔軟な退職制度に関する新制度を協議することに関心が無いままになっていた。大量失業という観点から、労働側も経営側も年配者に雇用を独占させることは得策ではないと考えていたのである。

しかし1999年6月になると状況は一変する。スウェーデンでは1940年代の出生率が大変高く、第二次世界大戦で誰も殺されなかった。そのためスウェーデンの年齢ピラミッドは大変頭でっかちになり、少ない労働力人口で多くの退職者を養う必要がある。この年齢ピラミッドのおかげで年金財政が苦しくなり、年金制度が部分的に積み立て方式にされ、年金給付の削減が行われた。したがって以前と同額の年金を確保したい労働者は、以前よりも長い期間働く必要がある。このため労働者の間に退職年齢の引き上げを望む声がある。この6月中に、スウェーデン人は全て社会保険庁から退職時に受け取る予想可能な年金に関する情報を掲載した手紙を受け取っている。この情報は退職年齢を65歳から67歳にすることによって年金が20%増えるだろうとしている。

頭でっかちな年齢ピラミッドのため、産業界では熟練労働者が不足し、地方自治体では看護要員の大部分が急速に退職年齢に近づいているために、介護部門に必要な人手がもうじき大量に不足する事態になる。1990年代に事業費の節約を行う間に、急速な労働力の老齢化を放置したまま若年労働者をほとんど雇用してこなかったのである。しかし、現状では退職年齢に達する前に既に生産性の低い労働者に対して、使用者は退職勧奨を行っており、退職年齢の引き上げが法制化された場合に経営側がどのように対処するか注目される。

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